2025年度 九州・沖縄ブロック 登録販売者試験 過去問/1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)
次の表は、ある胃腸薬に含まれている成分の一覧である。
3包(1日量)中
成分 分量
ピレンゼピン塩酸塩水和物 47.1mg
(ピレンゼピン塩酸塩無水物として45mg)
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 900mg
炭酸水素ナトリウム 1,200mg
ビオジアスターゼ 30mg
この胃腸薬の成分に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア ピレンゼピン塩酸塩は、排尿困難の症状がある人、緑内障の診断を受けた人では、症状の悪化を招くおそれがある。
イ メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、胃酸の中和作用のほか、胃粘膜にゼラチン状の皮膜を形成して保護する作用がある。
ウ 炭酸水素ナトリウムは、腎臓病の診断を受けた人が服用した場合、ナトリウムの排泄(はいせつ)が遅れたり、体内に貯留したりしやすくなる。
エ ビオジアスターゼは、味覚や嗅覚を刺激して反射的な唾液や胃液の分泌を促すことにより、弱った胃の働きを高めることを目的としている。
ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 正 正 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正
正答
ア イ ウ エ
1 正 正 正 正 あなたの解答
2 正 正 正 誤 あなたの解答 正答
3 正 誤 誤 正 あなたの解答
4 誤 正 誤 誤 あなたの解答
5 誤 誤 正 正 あなたの解答
解説
○ア 正しい。
○イ 正しい。
○ウ 正しい。
×エ ビオジアスターゼなどの消化成分は、炭水化物、脂質、タンパク質、繊維質等の分解に働く酵素を補うことを目的として配合される。なお、味覚や嗅覚を刺激して反射的な唾液や胃液の分泌を促すことにより、弱った胃の働きを高めることを目的として、オウバクやオウレン、センブリなどの生薬成分が配合される。
基本事項
ピレンゼピン塩酸塩の特徴と注意
・ピレンゼピン塩酸塩は、消化管の運動にはほとんど影響を与えずに胃液の分泌を抑える作用を示すとされる。しかし、消化管以外では一般的な抗コリン作用のため、排尿困難、動悸(どうき)、目のかすみの副作用を生じることがある。
・排尿困難の症状がある人、緑内障の診断を受けた人では、症状の悪化を招くおそれがあり、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師または処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきである。
・また、使用後は乗物又は機械類の運転操作を避ける必要がある。なお、まれに重篤な副作用としてアナフィラキシーを生じることがある。
制酸成分は他の医薬品にも含まれることに注意
・制酸成分は他の医薬品(かぜ薬、解熱鎮痛薬等)でも配合されていることが多い。併用によって制酸作用が強くなりすぎる可能性があるほか、高カルシウム血症、高マグネシウム血症等を生じるおそれがあるため、同種の無機塩類を含む医薬品との相互作用に注意する必要がある。
・また、カルシウム、アルミニウムを含む成分については止瀉(ししゃ)薬、マグネシウムを含む成分については瀉下(しゃげ)薬に配合される成分でもあり、それぞれ便秘、下痢等の症状に注意することも重要である。
④ 胃液分泌抑制成分
・胃液の分泌は副交感神経系からの刺激によって亢進(こうしん)することから、過剰な胃液の分泌を抑える作用を期待して、アセチルコリン(副交感神経の伝達物質)の働きを抑えるロートエキスやピレンゼピン塩酸塩が配合されることがある。
・これらの成分を含有する胃腸薬では、胃腸鎮痛鎮痙(ちんけい)薬や乗物酔い防止薬との併用を避ける必要がある。
・なお、ヒスタミンも胃液分泌に関与する伝達物質のひとつであり、胃液分泌を抑制することを目的として、ヒスタミンの働きを抑える成分が配合された医薬品がH2ブロッカーと呼ばれる製品群である。
胃の薬の服用方法
・胃の薬は、健胃成分、消化成分、制酸成分などが、その治療目的に合わせて組み合わされるが、服用のタイミングには違いがあるのでおさえておこう.
▼ 胃の薬の特徴による服用タイミングの違い

食道裂孔ヘルニア、胃・十二指腸潰瘍、胃ポリープ等の懸念
・一般用医薬品の胃薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)は、基本的に、一時的な胃の不調に伴う諸症状を緩和する目的で使用されるものであり、慢性的に胸やけや胃部不快感、胃部膨満感等の症状が現れる場合、又は医薬品を使用したときは治まるが、やめると症状がぶり返し、医薬品が手放せないような場合には、食道裂孔ヘルニア【語句解説】、胃・十二指腸潰瘍(かいよう)、胃ポリープ等を生じている可能性も考えられ、医療機関を受診するなどの対応が必要である。 【語句解説】
・胃の一部が横隔膜の上に飛び出して、胃液が食道に逆流しやすくなる状態。
胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)の特徴
・胃の不調を治すのが胃の薬の役割である。胃の薬は、主に制酸成分、健胃成分、消化成分に大別できる。詳しくは各項目で説明する。

医薬部外品には各種制限あり
・健胃薬、消化薬、整腸薬又はそれらの目的を併せ持つものには、医薬部外品として製造販売されている製品もある。それらは人体に対する作用が緩和なものとして、配合できる成分やその上限量が定められており、また、効能・効果の範囲も限定されている。
胃のけいれんと吐き気、嘔吐の関係
・吐きけや嘔吐(おうと)は、延髄にある嘔吐中枢の働きによって起こる。嘔吐中枢が刺激される経路はいくつかあるが、消化管での刺激が副交感神経系を通じて嘔吐中枢を刺激する経路も知られており、胃の痙攣(けいれん)等によって吐きけが起きている場合がある。

テプレノンの肝機能障害以外の副作用
・テプレノンについては、肝機能障害以外の副作用として腹部膨満感、吐きけ、腹痛、頭痛、皮下出血、便秘、下痢、口渇が現れることがある。
ショウキョウ(生姜)
・ショウキョウは、ショウガ科のショウガの根茎を基原とする生薬で、香りによる健胃作用を期待して用いられる芳香性健胃生薬の一つである。

出典: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」に準拠。