2025年度 九州・沖縄ブロック 登録販売者試験 過去問/Ⅳ 薬害の歴史
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)訴訟及びスモン訴訟に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア CJD訴訟は、キノホルム製剤を使用したことによりCJDに罹患(りかん)したことに対する損害賠償訴訟である。
イ CJDは、ウイルスの一種であるプリオンが原因であるとされている。
ウ スモン訴訟は、脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介して、亜急性脊髄(せきずい)視神経症に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。
エ キノホルム製剤は、一般用医薬品として販売されていたことはない。
ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 誤
正答
ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正 あなたの解答
2 正 誤 正 正 あなたの解答
3 正 誤 正 誤 あなたの解答
4 誤 正 正 誤 あなたの解答
5 誤 誤 誤 誤 あなたの解答 正答
解説
×ア 誤り。CJD訴訟は、脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介してCJDに罹患したことに対する損害賠償訴訟である。キノホルム製剤に関する訴訟はスモン訴訟である。
×イ 誤り。CJDは、ウイルスではなくタンパク質の一種であるプリオンが原因とされている。
×ウ 誤り。スモン訴訟は、整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。ヒト乾燥硬膜を介した訴訟はCJD訴訟である。
×エ 誤り。キノホルム製剤は、一般用医薬品としても販売されていた。
基本事項
CJDとは
・CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)は、たんぱく質の一種であるプリオンが原因とされ、プリオンが脳の組織に感染し、次第に認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病である。

CJD訴訟の経緯
・CJD訴訟とは、脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介してCJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)に罹患(りかん)したことに対する損害賠償訴訟である。

キノホルム製剤の使用とスモン訴訟の経緯
・整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症(スモン)に罹患(りかん)したことに対する損害賠償訴訟である。

血液凝固因子製剤によるHIVの発症
・血友病患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことにより、HIVに感染した。
・このことを受けて始まった損害賠償訴訟が、HIV訴訟である。

C型肝炎訴訟が起きた背景
・出産や手術での大量出血などの際に特定のフィブリノゲン製剤や血液凝固第IX因子製剤の投与を受けたことにより、C型肝炎ウイルスに感染したことに対する損害賠償訴訟である。
スモンの症状
・スモンとは、亜急性脊髄視神経症のことで、英名Subacute Myelo-Optico-Neuropathyの頭文字をとって「スモン」と呼ばれる。
・整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、スモンの症状を訴える人が現れた。

CJD訴訟後の国の取り組みなど
・CJD訴訟の和解に際して、国(厚生労働大臣)は、生物由来の医薬品等によるHIVやCJDの感染被害が多発したことにかんがみ、こうした医薬品等の安全性を確保するため必要な規制の強化を行うとともに、生物由来の医薬品等による被害の救済制度を早期に創設できるよう努めることを誓約し、2002年に行われた薬事法改正に伴い、以下の対応を行った。
・生物由来製品の安全対策強化
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設 など
・他にも、以下の対応を行っている。
・CJD患者の入院対策・在宅対策の充実
・CJDの診断・治療法の研究開発
・CJDに関する正しい知識の普及・啓発
・患者家族・遺族に対する相談事業等に対する支援
・CJD症例情報の把握
・ヒト乾燥硬膜の移植の有無を確認するための患者診療録の長期保存等の措置
「誓いの碑」に刻まれた言葉
・「誓いの碑」には、「命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する千数百名もの感染者を出した『薬害エイズ』事件このような事件の発生を反省しこの碑を建立した平成11年8月厚生省」と刻まれている。
医薬品副作用被害救済制度の創設
・サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、1979年、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が創設された。
サリドマイド訴訟の経緯
・催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を妊娠している女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟である。

・サリドマイドによる薬害事件は、日本のみならず世界的にも問題となったため、WHO加盟国を中心に市販後の副作用情報の収集の重要性が改めて認識され、各国における副作用情報の収集体制の整備が図られることとなった。
出典: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」に準拠。