2025年度 九州・沖縄ブロック 登録販売者試験 過去問/Ⅳ 薬害の歴史
Q:
サリドマイド訴訟及びHIV訴訟に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア サリドマイド訴訟は、サリドマイド製剤を妊娠している女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常が発生したことに対する損害賠償訴訟である。
イ HIV訴訟は、血友病患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した原料血漿(けっしょう)から製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことにより、HIVに感染したことに対する損害賠償訴訟である。
ウ サリドマイド訴訟は、国及び製薬企業を被告として提訴され、現在でも和解は成立していない。
エ HIV訴訟を契機として、1979年、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が創設された。
ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 誤 誤 正
正答
ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正 あなたの解答
2 正 正 誤 誤 あなたの解答 正答
3 正 誤 正 誤 あなたの解答
4 誤 正 正 正 あなたの解答
5 誤 誤 誤 正 あなたの解答
解説
○ア 文章通り。
○イ 文章通り。
×ウ 誤り。サリドマイド訴訟は、製薬企業を被告として、さらに翌年には国及び製薬企業を被告として提訴され、すでに和解が成立している。
×エ 医薬品副作用被害救済制度は、スモン訴訟、サリドマイド訴訟を契機として、1979年に医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため創設された。
基本事項
医薬品副作用被害救済制度の創設
・サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、1979年、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が創設された。
サリドマイド訴訟の経緯
・催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を妊娠している女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟である。
・サリドマイドによる薬害事件は、日本のみならず世界的にも問題となったため、WHO加盟国を中心に市販後の副作用情報の収集の重要性が改めて認識され、各国における副作用情報の収集体制の整備が図られることとなった。
登録販売者等に求められる姿勢
・サリドマイド製剤、キノホルム製剤については、一般用医薬品として販売されていた製品もあり、一般用医薬品の販売等に従事する者においては、薬害事件の歴史を十分に理解し、医薬品の副作用等による健康被害の拡大防止に関して、製薬企業や国だけでなく、医薬品の情報提供、副作用報告等を通じて、その責務の一端を担っていることを肝に銘じておく必要がある。
サリドマイドの胎児への影響
・サリドマイドは、催眠鎮静剤等として販売されていたが、母親の摂取により胎児に移行し、正常な発達を妨げてしまう作用があった。そのため、胎児の四肢欠損や心肺機能の障害等の先天異常の原因となった。
【語句解説】血管新生
・既に存在する血管から新しい血管が形成されること。また、広義にはそれに伴い、新しい血管によって栄養分等が運ばれることも指す。胎児の成長過程のみならず、健康な成人においても重要であるが、成人における新しい血管の形成は胎児期に比べると活発でない。なお、腫瘍化した細胞近辺では血管新生が活発化し、腫瘍の成長を促すことから、血管新生を妨げる物質がんを抗癌剤として用いることがある。
・既に存在する血管から新しい血管が形成されること。また、広義にはそれに伴い、新しい血管によって栄養分等が運ばれることも指す。胎児の成長過程のみならず、健康な成人においても重要であるが、成人における新しい血管の形成は胎児期に比べると活発でない。なお、腫瘍化した細胞近辺では血管新生が活発化し、腫瘍の成長を促すことから、血管新生を妨げる物質がんを抗癌剤として用いることがある。
血液凝固因子製剤によるHIVの発症
・血友病患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことにより、HIVに感染した。
・このことを受けて始まった損害賠償訴訟が、HIV訴訟である。
・このことを受けて始まった損害賠償訴訟が、HIV訴訟である。
HIV訴訟後の再発防止に向けた取り組みなど
・HIV訴訟を契機に、HIV感染者に対する恒久対策のほか、以下の再発防止に向けた取り組みを含む改正薬事法が1996年に成立し、翌年4月に施行された。
▼ 医薬品の副作用等による健康被害の再発防止に向けた取り組み
・医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(当時)との連携による承認審査体制の充実
・製薬企業に対し従来の副作用報告に加えて感染症報告の義務づけ
・緊急に必要とされる医薬品を迅に供給するための「緊急輸入」制度の創設等
・また、他にも以下の改善等が行われた。
・エイズ治療研究開発センターおよび拠点病院の整備
・治療薬の早期提供
・血液製剤の安全確保対策として、検査や献血時の問診の充実を図る
・薬事行政組織の再編
・情報公開の推進
・健康危機管理体制の確立
▼ 医薬品の副作用等による健康被害の再発防止に向けた取り組み
・医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(当時)との連携による承認審査体制の充実
・製薬企業に対し従来の副作用報告に加えて感染症報告の義務づけ
・緊急に必要とされる医薬品を迅に供給するための「緊急輸入」制度の創設等
・また、他にも以下の改善等が行われた。
・エイズ治療研究開発センターおよび拠点病院の整備
・治療薬の早期提供
・血液製剤の安全確保対策として、検査や献血時の問診の充実を図る
・薬事行政組織の再編
・情報公開の推進
・健康危機管理体制の確立
C型肝炎感染被害者救済のために
・国及び製薬企業を被告として、2002年から2007年にかけて、5つの地裁で提訴されたが、2006年から2007年にかけて言い渡された5つの判決は、国及び製薬企業が責任を負うべき期間等について判断が分かれていた。このような中、C型肝炎ウイルス感染者の早期・一律救済の要請にこたえるべく、議員立法によってその解決を図るため、2008年1月に特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法(平成20年法律第2号)が制定、施行された。
・国では、この法律に基づく給付金の支給の仕組みに沿って、現在、和解を進めている。また、「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」(平成22年4月28日薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会)を受け、医師、薬剤師、法律家、薬害被害者などの委員により構成される医薬品等行政評価・監視委員会が設置された。
・国では、この法律に基づく給付金の支給の仕組みに沿って、現在、和解を進めている。また、「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」(平成22年4月28日薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会)を受け、医師、薬剤師、法律家、薬害被害者などの委員により構成される医薬品等行政評価・監視委員会が設置された。
HIV訴訟の和解確認書
・和解確認書において、国(厚生大臣(当時))は、以下の謝罪と決意を示している。 「我が国における血友病患者のHIV感染という悲惨な被害を拡大させたことについて指摘された重大な責任を深く自覚、反省して、原告らを含む感染被害者に物心両面にわたり甚大な被害を被らせるに至ったことにつき、深く衷心よりお詫びする」とともに、 「サリドマイド、キノホルムの医薬品副作用被害に関する訴訟の和解による解決に当たり、前後2回にわたり、薬害の再発を防止するため最善の努力をすることを確約したにもかかわらず、再び本件のような医薬品による悲惨な被害を発生させるに至ったことを深く反省し、その原因についての真相の究明に一層努めるとともに、安全かつ有効な医薬品を国民に供給し、医薬品の副作用や不良医薬品から国民の生命、健康を守るべき重大な責務があることを改めて深く認識し、薬事法上医薬品の安全性確保のため厚生大臣に付与された各種権限を十分活用して、本件のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることがないよう、最善、最大の努力を重ねることを改めて確約する」としている。
C型肝炎訴訟が起きた背景
・出産や手術での大量出血などの際に特定のフィブリノゲン製剤や血液凝固第IX因子製剤の投与を受けたことにより、C型肝炎ウイルスに感染したことに対する損害賠償訴訟である。
「誓いの碑」に刻まれた言葉
・「誓いの碑」には、「命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する千数百名もの感染者を出した『薬害エイズ』事件このような事件の発生を反省しこの碑を建立した平成11年8月厚生省」と刻まれている。
出典: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」に準拠。