2025年度 北海道・東北ブロック 登録販売者試験 過去問/薬の生体内運命
Q:
医薬品の有効成分の代謝及び排泄(はいせつ)に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 経口投与後、消化管で吸収された医薬品の有効成分は、全身循環に入る前にリンパ管を経由して肝臓を通過する。
b 肝初回通過効果とは、全身循環に移行する医薬品の有効成分の量が、消化管で吸収された量よりも、肝臓で代謝を受けた分だけ少なくなることをいう。
c 腎機能が低下した人では、医薬品の効き目が過剰に現れたり、副作用が生じやすくなったりする。
d 医薬品の有効成分は、未変化体のままで、あるいは代謝物として、肺から呼気中へ排出されることはない。
1(a、b)
2(a、c)
3(a、d)
4(b、c)
5(b、d)
正答
1(a、b) あなたの解答
2(a、c) あなたの解答
3(a、d) あなたの解答
4(b、c) あなたの解答 正答
5(b、d) あなたの解答
解説
×a 経口投与後、消化管で吸収された有効成分は、全身循環に入る前に門脈という血管を経由して肝臓を通過する。
○b 文章通り。
○c 文章通り。
×d 医薬品の有効成分は未変化体のまま、あるいは代謝物として腎臓から尿中へ、肝臓から胆汁中へ、又は肺から呼気中へ排出される。
基本事項
①消化管で吸収された後に起こる代謝
・経口投与後、消化管で吸収された有効成分は、消化管の毛細血管から血液中へ移行する。その血液は全身循環に入る前に門脈という血管を経由して肝臓に到達し、そこで代謝を受けて全身へと向かう。有効成分は吸収時に比べて、肝臓で代謝される分少なくなる。これを肝初回通過効果という。
▼ 肝初回通過効果(first-pass effect)
・肝機能が低下した人では医薬品を代謝する能力が低いため、正常な人に比べて全身循環に到達する有効成分の量がより多くなり、効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする。
・なお、薬物代謝酵素の遺伝子型には個人差がある。また、小腸などの消化管粘膜や腎臓にも代謝活性があることが明らかにされている。
▼ 肝初回通過効果(first-pass effect)
・なお、薬物代謝酵素の遺伝子型には個人差がある。また、小腸などの消化管粘膜や腎臓にも代謝活性があることが明らかにされている。
薬の排泄
・排泄とは、代謝によって生じた物質(代謝物)が尿等で体外へ排出されることである。医薬品の有効成分は、未変化体のまま、あるいは代謝物として、腎臓から尿中へ、肝臓から胆汁中へ、または肺から呼気中へ排出される。
・体外への排出経路としては、その他に汗中や母乳中などがあるが、体内からの消失経路としての意義は小さい。ただし、有効成分の母乳中への移行は、乳児に対する副作用の発現という点で、軽視することはできない。
・体外への排出経路としては、その他に汗中や母乳中などがあるが、体内からの消失経路としての意義は小さい。ただし、有効成分の母乳中への移行は、乳児に対する副作用の発現という点で、軽視することはできない。
有効成分の排泄
・循環血液中に存在する有効成分の多くは、未変化体または代謝物の形で腎臓から尿中に排泄(はいせつ)される。
・排泄の過程においても血漿タンパク質との複合体形成は重要な意味を持つ。複合体は腎臓で濾過されないため、有効成分が長く循環血液中に留まることとなり、作用が持続する原因となる。
・腎機能が低下した人では、正常の人よりも有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくい。そのため、医薬品の効き目が過剰に現れたり、副作用を生せじやすくなったりする。
・排泄の過程においても血漿タンパク質との複合体形成は重要な意味を持つ。複合体は腎臓で濾過されないため、有効成分が長く循環血液中に留まることとなり、作用が持続する原因となる。
・腎機能が低下した人では、正常の人よりも有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくい。そのため、医薬品の効き目が過剰に現れたり、副作用を生せじやすくなったりする。
含嗽薬(咽頭の粘膜から吸収される薬)
・咽頭の粘膜に適用する含嗽(がんそう。うがい)薬等の場合は、その多くが唾液や粘液によって食道へ流れてしまうため、咽頭粘膜からの吸収が原因で全身的な副作用が起こることは少ない。ただし、アレルギー反応は微量の抗原でも生じるため、点眼薬や含嗽薬等でもショック(アナフィラキシー)等のアレルギー性の副作用を生じることがある。
薬の作用(全身作用と局所作用)
・医薬品の作用方法として、全身作用と局所作用の2つが挙げられる。それぞれの特徴を確認しておこう。
▼ 全身作用と局所作用
・内服薬は全身作用を示すものが多いが、膨潤性下剤や生菌製剤等のように、有効成分が消化管内で作用するものもあり、その場合に現れる作用は局所作用である。また、胃腸に作用する薬であっても、有効成分が循環血液中に入ってから薬効をもたらす場合には、その作用は全身作用の一部であることに注意が必要である。
・外用薬の場合、適用部位に対する局所的な効果を目的としていることが多い。また、坐剤(ざざい)、経皮吸収製剤等では、適用部位から吸収された有効成分が、循環血液中に移行して全身作用を示すことを目的として設計されたものも存在する。
▼ 全身作用と局所作用
・外用薬の場合、適用部位に対する局所的な効果を目的としていることが多い。また、坐剤(ざざい)、経皮吸収製剤等では、適用部位から吸収された有効成分が、循環血液中に移行して全身作用を示すことを目的として設計されたものも存在する。
口腔粘膜から吸収される薬
口に含むため内服と混同されやすいが、抗狭心症薬のニトログリセリン(舌下錠、スプレー)や禁煙補助薬のニコチン(咀嚼(そしゃく)剤)のように、有効成分が口腔(こうくう)粘膜から吸収されて全身作用を現すものもある。薬剤がどのような流れで作用しているのか確認しておこう。
▼ 内服薬と口腔粘膜から吸収される薬の吸収方法の違い
・なお、医薬品によっては、適用部位の粘膜に刺激等の局所的な副作用を生じることがある。そのような副作用を回避するため、また、その有効成分の急激な吸収による全身性の副作用を回避するため、粘膜に障害があるときは使用を避けるべきである。
▼ 内服薬と口腔粘膜から吸収される薬の吸収方法の違い
点眼薬(目の粘膜から吸収される薬)
・眼の粘膜に適用する点眼薬は、鼻涙管を通って鼻粘膜から吸収されることがある。そのため、眼以外の部位に到達して副作用を起こすことがある。場合によっては点眼する際に目頭の鼻涙管の部分を押さえ、有効成分が鼻に流れるのを防ぐ必要がある。
②粘膜からの吸収(内服以外の用法によるもの)
・内服以外の用法で使用される医薬品には、適用部位から有効成分を吸収させて、全身作用を発揮させることを目的とするものがある。
③皮膚からの吸収
・皮膚に適用する医薬品(塗り薬、貼り薬等)は、適用部位に対する局所的な効果を目的とするものがほとんどである。殺菌消毒薬等のように、有効成分が皮膚の表面で作用するものもあるが、有効成分が皮膚から浸透して体内の組織で作用する医薬品の場合は、浸透する量は皮膚の状態※、傷の有無やその程度などによって影響を受ける。 ※たとえば、加齢等により皮膚のみずみずしさが低下すると、有効成分が浸潤・拡散しにくくなる。
・通常は、皮膚表面から循環血液中へ移行する量は比較的少ないが、粘膜吸収の場合と同様に、血液中に移行した有効成分は、肝臓で代謝を受ける前に血流に乗って全身に分布するため、適用部位の面積(使用量)や使用回数、その頻度などによっては、全身作用が現れることがある。また、アレルギー性の副作用は、適用部位以外にも現れることがある。
・通常は、皮膚表面から循環血液中へ移行する量は比較的少ないが、粘膜吸収の場合と同様に、血液中に移行した有効成分は、肝臓で代謝を受ける前に血流に乗って全身に分布するため、適用部位の面積(使用量)や使用回数、その頻度などによっては、全身作用が現れることがある。また、アレルギー性の副作用は、適用部位以外にも現れることがある。
①消化管からの吸収
・内服薬のほとんどは、その有効成分が消化管から吸収されて循環血液中に移行し、全身作用を現す。
▼ 消化管からの吸収でのポイント
・全身作用を目的としない内服薬は、本来、有効成分が消化管から吸収されることによって薬効を発揮するわけではなく、有効成分はそのまま糞便中に排泄(はいせつ)されることとなるが、中には消化管内を通過する間に結果的に吸収されてしまうものがある。その場合、循環血液中に移行した有効成分によって、好ましくない作用(副作用)を生じることがある。
▼ 消化管からの吸収でのポイント
出典: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」に準拠。