神秘湯の過去問 3/3/2023年度 北関東・甲信越ブロック
咳止めや痰を出しやすくする目的で用いられる漢方処方製剤及び生薬成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a キョウニンはヒメハギ科のイトヒメハギの根を基原とする生薬で、去痰(きょたん)作用を期待して用いられる。
b 麦門冬湯(ばくもんどうとう)は、体力中等度以下で、痰が切れにくく、ときに強く咳こみ、又は咽頭の乾燥感があるもののから咳、気管支炎、気管支喘息(ぜんそく)、咽頭炎、しわがれ声に適すとされるが、水様痰(たん)の多い人には不向きとされる。
c 神秘湯(しんぴとう)に含まれるマオウは、中枢神経系に対する作用が他の気管支拡張成分に比べ強いとされ、依存性がある。
a b c
1 誤 誤 誤
2 正 正 誤
3 正 誤 正
4 誤 正 正
正答
a b c
1 誤 誤 誤 あなたの解答
2 正 正 誤 あなたの解答
3 正 誤 正 あなたの解答
4 誤 正 正 あなたの解答 正答
解説
×a 選択肢aの内容は、オンジの説明となっている。キョウニンは、バラ科のホンアンズ、アンズ等の種子を基原とする生薬で、体内で分解されて生じた代謝物の一部が延髄の呼吸中枢、咳嗽(がいそう)中枢を鎮静させる作用を示すとされる。
◯b 正しい。
◯c 正しい。
基本事項
気管支を拡げる成分(気管支拡張成分)
・気管支を拡げる成分として、交感神経系を刺激して気管支を拡張させるアドレナリン作動成分やマオウと、自律神経系を介さずに気管支の平滑筋に直接作用して弛緩(しかん)させ、気管支を拡張させるキサンチン系成分(ジプロフィリン等)がある。

・より細かく分類すると、以下のように分けられる。アドレナリン作動成分は、呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮めることを目的として用いられる。
・マオウは、アドレナリン作動成分と同様の作用を示す生薬成分で、気管支拡張のほか、発汗促進、尿量増加(利尿)等の作用も期待される。

生薬成分
・比較的穏やかな鎮咳去痰作用を示し、中枢性鎮咳成分、気管支拡張成分、去痰成分又は抗炎症成分の働きを助けることを期待して、次のような生薬成分が配合されている場合がある。

・それぞれの生薬について、詳しくみていこう。
中枢神経系に作用して咳(せき)を抑える成分
・咳を抑えることを目的とする成分のうち、延髄の咳嗽(がいそう)中枢に作用する主なものは以下の通り。なお、麻薬性鎮咳成分(コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩)は、モルヒネと同じ基本構造を持ち、依存性がある。それ以外の成分は、非麻薬性鎮咳成分と呼ばれる。

キョウニン(杏仁)
・バラ科のホンアンズ、アンズ等の種子を基原とする生薬。
・体内で分解されて生じた代謝物の一部が延髄の呼吸中枢、咳嗽(がいそう)中枢を鎮静させる作用を示すとされる。
▼ キョウニン

抗ヒスタミン成分
・咳(せき)や喘息(ぜんそく)、気道の炎症は、アレルギー【語句解説】に起因することがあり、鎮咳(ちんがい)成分や気管支拡張成分、抗炎症成分の働きを助ける目的で、以下の抗ヒスタミン成分が配合されることがある。
・気道粘膜での粘液分泌を抑制することで痰(たん)が出にくくなることがあるため、痰の切れを良くしたい場合は併用に注意する必要がある。

【語句解説】アレルギー
・アレルギーによる気管支喘息(ぜんそく)は、炎症による粘膜の腫れにより、気道の過敏性が亢進して、気管支の内径が狭くなるとともに、ヒスタミン等の物質が気管支を収縮させることで引き起こされる。
セネガ、オンジ〔遠志〕
・セネガ、オンジの摂取により糖尿病の検査値に影響を生じることがあり、糖尿病が改善したと誤認されるおそれがあるため、1日最大配合量がセネガ原生薬として1.2g以上、又はオンジとして1g以上を含有する製品では、使用上の注意において成分及び分量に関連する注意として記載されている。
▼ セネガ
・セネガはヒメハギ科のセネガ又はヒロハセネガの根及び根皮を基原とする生薬である。
・去痰作用を期待して用いられる。
▼ オンジ
・オンジはヒメハギ科のイトヒメハギの根を基原とする生薬である。
・去痰作用を期待して用いられる。
咳(せき)とは
・咳は、気管や気管支に何らかの異変が起こった時に、その刺激が中枢神経系に伝わり、延髄(えんずい)にある咳嗽(がいそう)中枢のはたらきにより引き起こされる反応である。

心臓病、高血圧、糖尿病、甲状腺機能障害の人の症状を悪化させるおそれ
・アドレナリン作動成分及びマオウ(構成生薬にマオウを含む漢方処方製剤も同様。)については、気管支に対する作用のほか、交感神経系への刺激作用によって、心臓血管系や、肝臓でのエネルギー代謝等にも影響が生じることが考えられる。
▼ アドレナリン作動成分の特徴と、症状が悪化する可能性があるもの

咳の原因
・咳が発生する原因についてみていこう。

咳と喘息
・気道粘膜に炎症を生じたときにも咳が誘発され、また、炎症に伴って気管や気管支が収縮して喘息(ぜんそく)(息が切れて、喉がゼーゼーと鳴る状態)を生じることもある。
出典: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」に準拠。