乙字湯の過去問 3/3/2025年度 北陸・東海ブロック
痔疾用薬として用いられる生薬成分及び漢方処方製剤に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a シコンは、ムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬で、新陳代謝促進、殺菌、抗炎症等の作用を期待して用いられる。
b セイヨウトチノミは、トチノキ科のセイヨウトチノキ(マロニエ)の種子を基原とする生薬で、内用痔疾用薬として使用する場合、主に抗炎症作用を期待して用いられる。
c 乙字湯は、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、悪心・嘔吐(おうと)、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
d 芎帰膠艾湯は、構成生薬としてカンゾウを含むため、カンゾウを含む他の医薬品や一般食品等との併用により、摂取されるグリチルリチン酸の総量が継続して多くならないように注意を促すことが重要である。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
正答
a b c d
1 正 正 正 誤 あなたの解答
2 正 正 誤 正 あなたの解答
3 正 誤 正 正 あなたの解答
4 誤 正 正 正 あなたの解答
5 正 正 正 正 あなたの解答 正答
解説
○a 正しい。
○b 正しい。
○c 正しい。
○d 正しい。
基本事項
セイヨウトチノミ(セイヨウトチノキ種子)
・トチノキ科のセイヨウトチノキ(マロニエ)の種子を基原とする生薬で、血行促進、抗炎症等の作用を期待して用いられる。
▼ セイヨウトチノキ

シコン(紫根)
・ムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬。
・新陳代謝促進、殺菌、抗炎症、組織修復促進、抗菌等の作用を期待して用いられる。
▼ ムラサキ

漢方処方製剤
・痔に用いられる漢方処方製剤としては、乙字湯(おつじとう)と芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)をおさえておこう。

痔疾用薬の分類
・一般用医薬品の痔疾用薬には、肛門部または直腸内に適用する外用薬(外用痔疾用薬)と内服して使用する内用薬(内用痔疾用薬)がある。

・いずれもその使用と併せて、痔を生じた要因となっている生活習慣の改善等を図ることが重要である。
内用痔疾用薬
・内用痔(じ)疾用薬は、比較的緩和な抗炎症作用、血行改善作用を目的とする成分のほか、瀉下(しゃげ)・整腸成分等が配合されたもので、外用痔疾用薬と併せて用いると効果的なものである。
・内用痔(じ)疾用薬は、生薬成分を中心に、以下のような成分を組み合わせて配合されている。

セイヨウトチノミ
→上記gの「セイヨウトチノミ」の項参照。
生薬成分
・生薬成分として用いられるのは、シコンとセイヨウトチノミである。それぞれの特徴を確認しておこう。
その他の生薬成分
[リンク センナ(又はセンノシド)] [リンク ダイオウ] [リンク カンゾウ] [リンク ボタンピ] [リンク トウキ] [リンク サイコ]
セイヨウトチノミ(セイヨウトチノキ種子)
・トチノキ科のセイヨウトチノキ(マロニエ)の種子を基原とする生薬で、血行促進、抗炎症等の作用を期待して用いられる。
▼ セイヨウトチノキ

カンゾウの特徴
・カンゾウは、マメ科のGlycyrrhiza uralensis FischerまたはGlycyrrhiza glabra Linné の根及びストロンで、ときには周皮を除いたもの(皮去りカンゾウ)を基原とする生薬である。・カンゾウは、グリチルリチン酸による抗炎症作用のほか、気道粘膜からの粘液分泌を促す等の作用も期待される。
・用途は幅広く、多くの漢方処方製剤に配合されるほか、小児鎮静薬や鎮咳去痰(ちんがいきょたん)薬、かぜ薬、内服アレルギー用薬や痔疾用薬などでも用いられることがある。
▼ カンゾウ

▼ 甘草湯
・甘草湯(かんぞうとう)は、構成生薬がカンゾウのみからなる漢方処方製剤で、体力に関わらず使用でき、激しい咳(せき)、咽喉痛、口内炎、しわがれ声に、外用では痔(じ)・脱肛(だっこう)の痛みに用いられる。日本薬局方収載のカンゾウも、煎薬として同様の目的で用いられる。
・いずれについても、短期間の服用にとどめ、連用しないこととされており、5〜6回使用しても咳や喉の痛みが鎮まらない場合には、漫然と継続せず、いったん使用を中止し、医師の診療を受けるなどの対応が必要である。・なお、甘草湯(かんぞうとう)のエキス製剤は乳幼児にも使用されることがあるが、その場合、体格の個人差から体重あたりのグリチルリチン酸の摂取量が多くなることがあり、特に留意される必要がある。
▼ カンゾウの注意点
■ 偽アルドステロン症・カンゾウを大量に摂取するとグリチルリチン酸の大量摂取につながり、偽アルドステロン症を起こすおそれがある。・むくみ、心臓病、腎臓病または高血圧のある人や高齢者では、偽アルドステロン症を生じるリスクが高いため、それらの人に1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として1g以上の製品を使用する場合は、治療を行っている医師または処方薬の調剤を行った薬剤師に相談する等、事前にその適否を十分考慮するとともに、偽アルドステロン症の初期症状に常に留意する等、慎重に使用する必要がある。なお、どのような人が対象であっても、1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として1g以上となる製品は、長期連用を避ける。
■ カンゾウの摂取総量に注意・カンゾウは、かぜ薬や鎮咳去痰(ちんがいきょたん)薬以外の医薬品にも配合されていることが少なくない。また、甘味料として一般食品等にも広く用いられるため、医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して、摂取されるグリチルリチン酸の総量が継続して多くならないよう注意を促すことが重要である。
出典: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」に準拠。