甘草湯の過去問 1/3/2025年度 東京都
胃又は腸の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 六君子湯(りっくんしとう)は、体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐(おうと)に適すとされる。
b 人参湯(理中丸)は、体力中等度以上で、胃がもたれて消化が悪く、ときに吐きけ、食後に腹が鳴って下痢の傾向のあるものの食べすぎによる胃のもたれ、急・慢性胃炎、消化不良、食欲不振に適すとされる。
c 大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)は、体力中等度以上で、下腹部痛があって、便秘しがちなものの月経不順、月経困難、月経痛、便秘、痔疾に適すとされる。
d 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)は、体力中等度以下で、ときに便が硬く塊状なものの便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、食欲不振(食欲減退)、腹部膨満、腸内異常醗酵、痔などの症状の緩和に適すとされる。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正
正答
a b c d
1 正 正 正 誤 あなたの解答
2 正 正 誤 正 あなたの解答
3 正 誤 誤 誤 あなたの解答 正答
4 誤 正 誤 誤 あなたの解答
5 誤 誤 正 正 あなたの解答
解説
○a 正しい。
×b 選択肢bの内容は、平胃散(へいいさん)の説明となっている。人参湯(理中丸)は、体力虚弱で、疲れやすくて手足などが冷えやすい者の胃腸虚弱、下痢、嘔吐(おうと)、胃痛、腹痛、急性・慢性胃炎に適すとされる。
×c 選択肢cの内容は、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)の説明となっている。大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)は体力に関わらず広く応用され、便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ、湿疹(しっしん)・皮膚炎、ふきでもの、食欲不振、腹部膨満、腸内異常発酵、痔(じ)などの症状の緩和に適すとされる。
×d 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)は、体力中等度以上で、下腹部痛があって、便秘しがちな者の月経不順、月経困難、月経痛、便秘、痔疾に適すとされる。
基本事項
漢方処方製剤
・胃の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤は以下の通り。これらはいずれも構成生薬としてカンゾウを含む。また、いずれも比較的長期間(1カ月位)服用されることがある。

総合胃腸薬の特徴と注意点
・総合胃腸薬は、一般用医薬品の一つで、様々な胃腸の症状に幅広く対応できるよう、制酸、胃粘膜保護、健胃、消化、整腸、鎮痛鎮痙(ちんけい)、消泡【語句解説】等、それぞれの作用を目的とする成分を組み合わせた製品である。
・制酸と健胃のように相反する作用を期待するものが配合されている場合もあるが、胃腸の状態によりそれら成分に対する反応が異なり、総じて効果がもたらされると考えられている。しかし、消化不良、胃痛、胸やけなど症状がはっきりしている場合は、効果的に症状の改善を図るため、症状に合った成分のみが配合された製品が選択されることが望ましい。 【語句解説】消泡
・気泡は、空気などの気体が球状になって液体中に存在するものであり、気泡を生じた液体は、気体の体積の分だけ全体の体積が増す。液体状である消化管内容物中に無数の気泡が発生すると、その体積の増加によって消化管が刺激され、腹部の膨満感として知覚される。
・消化管内容物中に発生した気泡の分離を促すこと(消泡)により、気体の吸収、排出が容易となる。
オウバク(黄柏)、オウレン(黄連)
・オウバク※、オウレン※※は、いずれも苦味による健胃作用を期待して用いられる。 ※ミカン科のキハダ又はフェロデンドロン・キネンセの周皮を除いた樹皮を基原とする生薬。 ※※キンポウゲ科のオウレン、コプティス・キネンシス、コプティス・デルトイデア又はコプティス・テータの根をほとんど除いた根茎を基原とする生薬。
▼ オウバク

▼ オウレン

・日本薬局方収載のオウバク末(オウバクを粉末にしたもの)、オウレン末は、止瀉(ししゃ)薬としても用いられる。また、日本薬局方収載のオウバク末は、外用薬としても用いられる。
・オウバクのエキス製剤は、苦味による健胃作用よりも、ベルベリン【語句解説】による止瀉(ししゃ)作用を期待して、消化不良による下痢、食あたり、吐き下し、水あたり、下り腹、軟便等の症状に用いられる。 【語句解説】ベルベリン ベルベリンは、生薬のオウバクやオウレンの中に存在する物質のひとつであり、抗菌作用のほか、抗炎症作用も併せ持つとされる。
カルニチン塩化物
・カルニチン塩化物は、生体内に存在する有機酸の一種であり、その働きは必ずしも明らかにされていないが、胃液分泌を促す、胃の運動を高める、胃壁の循環血流を増す等の作用があるとされ、胃の働きの低下や食欲不振の改善を期待して、胃腸薬や滋養強壮保健薬に用いられる。
胃の不調、薬が症状を抑える仕組み
・胃のはたらきに異常が生じると、様々な症状が現れる。まずは胃の不調と症状の関係についておさえ、胃の薬の特徴についても確認していこう。
胃のけいれんと吐き気、嘔吐の関係
・吐きけや嘔吐(おうと)は、延髄にある嘔吐中枢の働きによって起こる。嘔吐中枢が刺激される経路はいくつかあるが、消化管での刺激が副交感神経系を通じて嘔吐中枢を刺激する経路も知られており、胃の痙攣(けいれん)等によって吐きけが起きている場合がある。

胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)の特徴
・胃の不調を治すのが胃の薬の役割である。胃の薬は、主に制酸成分、健胃成分、消化成分に大別できる。詳しくは各項目で説明する。

医薬部外品には各種制限あり
・健胃薬、消化薬、整腸薬又はそれらの目的を併せ持つものには、医薬部外品として製造販売されている製品もある。それらは人体に対する作用が緩和なものとして、配合できる成分やその上限量が定められており、また、効能・効果の範囲も限定されている。
制酸成分
・中和反応によって胃酸の働きを弱めること(制酸)を目的として、以下の成分又はこれらの成分を組み合わせたもの等が配合されている場合がある。

出典: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」に準拠。