平胃散の過去問 1/3/2022年度 北陸・東海ブロック
胃の薬及びその配合成分に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
1 セトラキサート塩酸塩は、体内で代謝されてトラネキサム酸を生じることから、血栓のある人、血栓を起こすおそれのある人では、使用する前にその適否について、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきである。
2 ピレンゼピン塩酸塩は、その抗コリン作用により、排尿困難、動悸(どうき)、目のかすみの副作用を生じることがある。
3 胃の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤としては、安中散(あんちゅうさん)、人参湯(理中丸)、平胃散(へいいさん)、六君子湯(りっくんしとう)等があるが、どれも作用が穏やかであるため、改善が見られるまで半年程度継続して服用する必要がある。
4 一般用医薬品の胃薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)は、一時的な胃の不調に伴う諸症状を緩和する目的で使用されるものであり、慢性的に胸やけや胃部不快感、胃部膨満感等の症状が現れる場合は、医療機関を受診するなどの対応が必要である。
正答
1 セトラキサート塩酸塩は、体内で代謝されてトラネキサム酸を生じることから、血栓のある人、血栓を起こすおそれのある人では、使用する前にその適否について、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきである。 あなたの解答
2 ピレンゼピン塩酸塩は、その抗コリン作用により、排尿困難、動悸(どうき)、目のかすみの副作用を生じることがある。 あなたの解答
3 胃の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤としては、安中散(あんちゅうさん)、人参湯(理中丸)、平胃散(へいいさん)、六君子湯(りっくんしとう)等があるが、どれも作用が穏やかであるため、改善が見られるまで半年程度継続して服用する必要がある。 あなたの解答 正答
4 一般用医薬品の胃薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)は、一時的な胃の不調に伴う諸症状を緩和する目的で使用されるものであり、慢性的に胸やけや胃部不快感、胃部膨満感等の症状が現れる場合は、医療機関を受診するなどの対応が必要である。 あなたの解答
解説
○1 正しい。
○2 正しい。
×3 これらの漢方処方製剤は、1カ月程度の比較的長期間服用されることがあるが、半年程度は長すぎる。
○4 正しい。
基本事項
ピレンゼピン塩酸塩の特徴と注意
・ピレンゼピン塩酸塩は、消化管の運動にはほとんど影響を与えずに胃液の分泌を抑える作用を示すとされる。しかし、消化管以外では一般的な抗コリン作用のため、排尿困難、動悸(どうき)、目のかすみの副作用を生じることがある。
・排尿困難の症状がある人、緑内障の診断を受けた人では、症状の悪化を招くおそれがあり、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師または処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきである。
・また、使用後は乗物又は機械類の運転操作を避ける必要がある。なお、まれに重篤な副作用としてアナフィラキシーを生じることがある。
食道裂孔ヘルニア、胃・十二指腸潰瘍、胃ポリープ等の懸念
・一般用医薬品の胃薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)は、基本的に、一時的な胃の不調に伴う諸症状を緩和する目的で使用されるものであり、慢性的に胸やけや胃部不快感、胃部膨満感等の症状が現れる場合、又は医薬品を使用したときは治まるが、やめると症状がぶり返し、医薬品が手放せないような場合には、食道裂孔ヘルニア【語句解説】、胃・十二指腸潰瘍(かいよう)、胃ポリープ等を生じている可能性も考えられ、医療機関を受診するなどの対応が必要である。 【語句解説】
・胃の一部が横隔膜の上に飛び出して、胃液が食道に逆流しやすくなる状態。
漢方処方製剤
・胃の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤は以下の通り。これらはいずれも構成生薬としてカンゾウを含む。また、いずれも比較的長期間(1カ月位)服用されることがある。

④ 胃液分泌抑制成分
・胃液の分泌は副交感神経系からの刺激によって亢進(こうしん)することから、過剰な胃液の分泌を抑える作用を期待して、アセチルコリン(副交感神経の伝達物質)の働きを抑えるロートエキスやピレンゼピン塩酸塩が配合されることがある。
・これらの成分を含有する胃腸薬では、胃腸鎮痛鎮痙(ちんけい)薬や乗物酔い防止薬との併用を避ける必要がある。
・なお、ヒスタミンも胃液分泌に関与する伝達物質のひとつであり、胃液分泌を抑制することを目的として、ヒスタミンの働きを抑える成分が配合された医薬品がH2ブロッカーと呼ばれる製品群である。
制酸薬で胸焼け、吐きけ、嘔吐は予防できない
・制酸薬は、胃内容物の刺激によって促進される胃液分泌から胃粘膜を保護することを目的として、食前又は食間に服用することとなっているものが多いが、暴飲暴食による胸やけ、吐きけ(二日酔い・悪酔いのむかつき、嘔気(おうけ))、嘔吐等の症状を予防するものではない。
・「腹八分目を心がける」「良く噛んでゆっくりと食べる」「胃液の分泌を過度に高めることがある香辛料やアルコール、カフェイン等を多く含む食品【語句解説】の摂取を控えめにする」等、生活習慣の改善が図られることも重要である。
・嘔吐に発熱や下痢、めまいや興奮を伴う場合、胃の中に吐くものがないのに吐きけが治まらない場合等には、医療機関を受診するなどの対応が必要である。
・特に、乳幼児や高齢者で嘔吐が激しい場合には、脱水症状を招きやすく、また、吐瀉(としゃ)物が気道に入り込んで呼吸困難を生じることもあるため、医師の診療を受けることが優先されるべきである。
胃の不調、薬が症状を抑える仕組み
・胃のはたらきに異常が生じると、様々な症状が現れる。まずは胃の不調と症状の関係についておさえ、胃の薬の特徴についても確認していこう。
胃のけいれんと吐き気、嘔吐の関係
・吐きけや嘔吐(おうと)は、延髄にある嘔吐中枢の働きによって起こる。嘔吐中枢が刺激される経路はいくつかあるが、消化管での刺激が副交感神経系を通じて嘔吐中枢を刺激する経路も知られており、胃の痙攣(けいれん)等によって吐きけが起きている場合がある。

胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)の特徴
・胃の不調を治すのが胃の薬の役割である。胃の薬は、主に制酸成分、健胃成分、消化成分に大別できる。詳しくは各項目で説明する。

総合胃腸薬の特徴と注意点
・総合胃腸薬は、一般用医薬品の一つで、様々な胃腸の症状に幅広く対応できるよう、制酸、胃粘膜保護、健胃、消化、整腸、鎮痛鎮痙(ちんけい)、消泡【語句解説】等、それぞれの作用を目的とする成分を組み合わせた製品である。
・制酸と健胃のように相反する作用を期待するものが配合されている場合もあるが、胃腸の状態によりそれら成分に対する反応が異なり、総じて効果がもたらされると考えられている。しかし、消化不良、胃痛、胸やけなど症状がはっきりしている場合は、効果的に症状の改善を図るため、症状に合った成分のみが配合された製品が選択されることが望ましい。 【語句解説】消泡
・気泡は、空気などの気体が球状になって液体中に存在するものであり、気泡を生じた液体は、気体の体積の分だけ全体の体積が増す。液体状である消化管内容物中に無数の気泡が発生すると、その体積の増加によって消化管が刺激され、腹部の膨満感として知覚される。
・消化管内容物中に発生した気泡の分離を促すこと(消泡)により、気体の吸収、排出が容易となる。
出典: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」に準拠。