問題を解く
GL407

1)適正な販売広告

医薬品の販売広告の規制

・医薬品については、誇大広告等や承認前の医薬品等の広告が禁止されている。医薬品等の販売広告に関しては、法による保健衛生上の観点からの規制のほか、不当な表示による顧客の誘引の防止等を図るため、「不当景品類及び不当表示防止法」や「特定商取引に関する法律」の規制もなされている。

・まず、誇大広告等については、法第66条の第1項において以下の通り規定され、同第2項で何が誇大広告にあたるかが規定されている。さらに、「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎(だたい)を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない」とされている(同条第3項)。

承認前医薬品の広告禁止

・承認前の医薬品については、法第68条において規定されており、未承認の医薬品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告が禁止されている。

・これらの規定に違反して広告を行った者については、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(法第85条第4号又は第5号)こととされている。

医薬品販売広告のルール

・一般用医薬品の販売広告に関して、その内容や表現等が適切なものである必要がある。医薬品の販売等に従事する専門家にあっては、その広告活動に関しても、法令遵守はもとより、医薬品の販売広告に係るルールを十分理解し、その適正化に留意する必要がある。

・なお、医薬品の広告に該当するか否かについては、以下の1〜3いずれの要件も満たす場合には、広告に該当するものと判断されている。

(1)顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進(こうしん)させる)意図が明確であること

(2)特定の医薬品の商品名(販売名)が明らかにされていること

(3)一般人が認知できる状態であること

広告規制対象(マスメディア)

・法第66条及び第68条は、広告等の依頼主だけでなく、その広告等に関与するすべての人が対象となる。そのため、製薬企業等の依頼によりマスメディアを通じて行われる宣伝広告に関して、業界団体の自主基準のほか、広告媒体となるテレビ、ラジオ、新聞又は雑誌の関係団体においても、それぞれ自主的な広告審査等が行われている。

広告規制対象(チラシ、ダイレクトメール(電子メールを含む)、POP)

・一般用医薬品の販売広告としては、薬局、店舗販売業又は配置販売業において販売促進のため用いられるチラシやダイレクトメール(電子メールを含む)、POP【語句解説】広告等も含まれる。

【語句解説】POP

・Point of Purchaseの略号で、購買時点広告と訳される。小売店に設置されているポスター、ステッカー、ディスプレーなどによる店頭・店内広告を指す。

医薬品等適正広告基準

・医薬品等適正広告基準とは、平成29年9月29日付け薬生発0929第4号厚生労働省医薬務・生活衛生局長通知(昭和55年通知は廃止)により、医薬品の販売広告に係る法令遵守、また、生命関連製品である医薬品の本質にかんがみて、広告の適正化を図ることを目的として示されたものである。

・この基準においては、購入者等に対して、医薬品について事実に反する認識を得させるおそれがある広告のほか、過度の消費や乱用を助長するおそれがある広告についても不適正なものとされている。

a 事実に反する認識を得させるおそれがある広告

・一般用医薬品では、一般の生活者が医薬品を選択する際に販売広告が一つの判断要素となるので、広告の方法や内容、表現において、医薬品の効能効果や安全性等について事実に反する認識を生じさせることのないよう、また、その医薬品が適正に使用されるよう、正確な情報の伝達が重要である。

・一般の生活者が事実に反する認識を得るおそれがある広告については、医薬品の販売元の製薬企業等が取得している承認の範囲を超える内容が表現されている場合、特にその効能効果について、承認された内容に合致しない表現がなされている場合が多い。また、承認されている効能効果のうち、一部のみを抽出した広告を行うことも、ある疾病や症状に対して特に優れた効果を有するかのような誤認を与えるおそれがある。

漢方処方製剤では「しばり表現」を省いた広告禁止

・漢方処方製剤等では、使用する人の体質等を限定した上で特定の症状等に対する改善を目的として、効能効果に一定の前提条件(いわゆる「しばり表現」)が付されていることが多いが、そうしたしばり表現を省いて広告することは原則として認められていない。

・なお、漢方処方製剤の効能効果は、配合されている個々の生薬成分が相互に作用しているため、それらの構成生薬の作用を個別に挙げて説明することも不適当である。

医療用医薬品の効能効果をそのまま一般用医薬品で標榜するのは不適切

・一般用医薬品と同じ有効成分を含有する医療用医薬品の効能効果をそのまま標榜(ひょうぼう)することも、承認されている内容を正確に反映した広告といえない。

認められない広告表現

・一般用医薬品は、医療機関を受診するほどではない体調不良や疾病の初期段階において使用されるものが多く、医師による診断・治療によらなければ一般に治癒が期待できない疾患(例えば、がん、糖尿病、心臓病等)について自己治療が可能であるかような広告表現は認められない。

医薬品の有効性、安全性が確実と保証される表現は不適切

・医薬品の有効性又は安全性について、それが確実であることを保証するような表現がなされた広告は、明示的・暗示的を問わず、虚偽または誇大な広告とみなされる。(法第66条第1項)

・また、使用前・使用後に関わらず図画・写真等を掲げる際には、こうした効能効果等の保証表現となるものは認められない。このほか、医薬品の効能効果又は安全性について、最大級の表現又はこれに類する表現等を行うことも不適当とされている。

医薬品でない製品について医薬品的な効能効果があるように見せかけるのは不適切

・チラシやパンフレット等の同一紙面に、医薬品と、食品、化粧品、雑貨類等の医薬品ではない製品を併せて掲載すること自体は問題ないが、医薬品でない製品について医薬品的な効能効果があるように見せかけ、一般の生活者に誤認を与えるおそれがある場合には、必要な承認等を受けていない医薬品の広告とみなされることがあり、その場合には法第68条の違反となる。

b 過度の消費や乱用を助長するおそれのある広告

・医薬品は、何らかの保健衛生上のリスクを有し、人の生命や健康に影響を与える生命関連製品であるため、過度の消費や乱用が助長されることのないよう、また、生命関連製品としての信用や品位が損なわれることのないよう、その広告については節度ある適切な内容や表現が求められる。

・販売広告に価格の表示や特定商品の名称と価格が特記表示されていることをもって直ちに不適当とみなされることはないが、たとえば商品名を連呼する音声広告や、生活者の不安を煽(あお)って購入を促す広告等、医薬品が不必要な人にまで使用を促したり、安易な使用を促すおそれがあるものについては、保健衛生上の観点から必要な監視指導が行われている。

事実に反する広告表現は不適切

・「天然成分を使用しているので副作用がない」「いくら飲んでも副作用がない」といった事実に反する広告表現は、過度の消費や乱用を助長するおそれがあるだけでなく、虚偽誇大な広告にも該当する。

医薬関係者等が推薦する旨の広告は不適当

・医薬関係者、医療機関、公的機関、団体等が、公認、推薦、選用等している旨の広告については、一般の生活者の当該医薬品に対する認識に与える影響が大きいことにかんがみて、仮に事実であったとしても、原則として不適当とされている。ただし、市町村が行う衛生害虫類駆除事業に際して特定の殺虫剤・殺鼠(さっそ)剤の使用を住民に推薦するときのような、特別な場合は除外される。

食品的または化粧品的な用法の強調に注意

・チラシやパンフレット等において、医薬品について食品的または化粧品的な用法が強調されているような場合には、生活者に安易または過度な医薬品の使用を促すおそれがある不適正な広告とみなされることがあるため注意が必要である。

違反広告に係る措置命令等

厚生労働大臣または都道府県知事(薬局/店舗販売業にあっては、その薬局/店舗の所在地が保健所設置市または特別区の区域にある場合においては、市長または区長。以下「都道府県知事等」という。)が法第66条第1項または第68条の規定に違反して広告等を行った者に対してその行為の中止、再発防止等の措置命令を行うことができることとされている(法第72条の5)。

課徴金制度

厚生労働大臣が医薬品、医療機器等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する虚偽・誇大な広告を行った者に対して、違反を行っていた期間中における対象商品の売上額×4.5%の課徴金を納付させる命令を行う課徴金制度がある(法第75条の5の2)。