1)許可の種類と許可行為の範囲
許可の種類と許可行為の範囲
・法第24条第1項において、「薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列(配置することを含む。)してはならない」と規定されている。
・ただし、「医薬品の製造販売業者がその製等をし、又は輸入した医薬品を薬局開設者又は医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者に、医薬品の製造業者がその製した医薬品を医薬品の製造販売業者又は製造業者に、それぞれ販売し、授与し、又はその販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列するときはこの限りでない」(法第24条第1項ただし書き)と規定されており、製薬企業がその製造等した医薬品を、一般の生活者以外の、薬局開設者や販売業者又は他の製薬企業へ販売等を行う場合にあっては、あらためて販売業の許可を受ける必要はない。
・本規定に違反した者については、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(法第84条第9号)こととされている。
医薬品の販売等の許可
・医薬品を、業として販売、授与又は販売若しくは授与の目的での貯蔵、若しくは陳列(以下「販売等」という。)を行うには、薬局の開設又は医薬品の販売業の許可を受ける必要がある。
【語句解説】卸売販売業
・卸売販売業は、医薬品を薬局や他の医薬品の販売業、製薬企業又は医療機関等に対して販売等する業態であり、業として一般の生活者に対して直接医薬品の販売等を行うことは認められていない。(法第25条第3号、規則第138条)
医薬品の販売・授与方法の規定
・医薬品の販売・授与の方法については、法第37条第1項で以下の通り厳密に規定されている。これは、医薬品は、人の生命や健康に直接もしくは間接的に影響を与える生命関連製品であるため、安全性の見地から、露天販売や現金行商等のような、事後において医薬品購入者の安全性を確保すること、また、販売側の責任や所在を追及することが困難となる形態での販売・授与を禁止する趣旨(いわゆる「売り逃げ」の防止)によるものである。
・なお、上記の規定に違反した者については、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(法第85条第1号)こととされている。
医薬品の分割販売
・薬局、店舗販売業及び卸売販売業では、特定の購入者の求めに応じて医薬品の包装を開封して分割販売(いわゆる「量り売り」、「零売」と呼ばれることもある。)することができる。一方、配置販売業では、医薬品を開封して分割販売することは禁止されている(法第37条 第2項)。
・なお、医薬品をあらかじめ小分けし販売する行為は、無許可製造、無許可製造販売に該当するため、認められない。
分割販売の可否比較
・分割販売される医薬品の記載事項には、「分割販売を行う者の氏名又は名称並びに分割販売を行う薬局、店舗又は営業所の名称及び所在地」も含まれている(法第50条第15号、規則第210条第7号)。
販売業の種類による販売方法の規定
・薬局開設者または店舗販売業者は、店舗による販売または授与以外の方法により医薬品を販売等してはならず、同様に、配置販売業者は、配置以外の方法により医薬品を販売等してはならないとされている(法第37条第1項)。
薬局の定義
・薬局は、法第2条第12項により、以下の通り定義されている。
薬局の定義(法第2条第12項)
この法律で「薬局」とは、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務並びに薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所(その開設者が併せ行う医薬品の販売業に必要な場所を含む。)をいう。ただし、病院若しくは診療所又は飼育動物診療施設の調剤所を除く。
・薬局では、医薬品の調剤と併せて、店舗により医薬品の販売を行うことが認められている。また、調剤を実施する薬局は、医療提供施設としても位置づけられている(医療法(昭和23年法律第205号)第1条の2第2項)。
薬局開設の許可
・薬局は、「その所在地の都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。)の許可を受けなければ、開設してはならない」(法第4条第1項)と規定されている。
・都道府県知事は、以下のケースにおいて、薬局開設の許可を与えないことができる(法第5条)。
■調剤や医薬品の販売等を行うために必要な構造設備(薬局等構造設備規則(昭和36年厚生省令第2号。以下「構造設備規則」という。)第1条)を備えていないとき
■医薬品の調剤及び販売又は授与の業務を行う体制(薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令(昭和39年厚生省令第3号。以下「体制省令」という。)第1条)が整っていないとき
■申請者が薬事に関する法令等に違反し一定期間を経過していないとき など
薬局が取り扱い可能な医薬品
・薬局では、医療用医薬品の他、要指導医薬品及び一般用医薬品を取り扱うことができる。
・一般用医薬品のうち、第二類医薬品又は第三類医薬品に分類されたものの販売等に関しては、薬剤師のほかに、登録販売者が購入者等への情報提供や相談対応を行うこともできる。
薬局の名称の規定
・医薬品を取り扱う場所であって、薬局として開設の許可を受けていないものについては、病院又は診療所の調剤所を除き、薬局の名称を付してはならない(法第6条、規則第10条)こととされており、本規定に違反した者については、「30万円以下の罰金に処する」(法第88条第1号)こととされている。
薬局開設者の責務等
・薬局においては、調剤された薬剤や医薬品が保健衛生上遺漏なく販売等されるよう、その業務を適正に運営するための仕組みが設けられている。まず、薬局の開設の許可を受けた事業者(以下「薬局開設者」という。)は、薬局の管理について以下の通り規定されている。
・なお、薬局の管理者は、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合を除き、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはならないこととされている。(法第7条第4項)
・さらに、管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないよう、その薬局に勤務するその他の従業者を監督するなど、薬局の業務につき、必要な注意をしなければならず、薬局開設者に対して必要な意見を書面により述べなければならないこととされている(法第8条)。
・一方、薬局開設者は、その管理者の意見を尊重するとともに、法令遵守のために措置を講ずる必要があるときは、当該措置を講じ、かつ、講じた措置の内容(措置を講じない場合にあつては、その旨及びその理由)を記録し、これを適切に保存しなければならないこととされている(法第9条第2項)。
・以上のほか、薬局開設者には、法第36条の3及び第36条の4の規定に基づき、「薬局医薬品」の販売等に関する規制(規則第158条の7から規則第158条の9まで)、並びに法第9条の3及び第9条の4の規定に基づき、「調剤された薬剤」の販売等に関する規制(規則第11条の8から第11条の11まで及び第15条の11から第15条の13まで)が課せられている。
薬剤師不在時間の定義
・開店時間のうち、当該薬局において調剤に従事する薬剤師が当該薬局以外の場所においてその業務を行うため、やむを得ず、かつ、一時的に当該薬局において薬剤師が不在となる時間を薬剤師不在時間という(規則第1条第2項第3号)。以下、具体例を挙げる。
薬剤師不在時間の掲示、対応等
・薬局開設者は、薬剤師不在時間内には調剤室を閉鎖するとともに、調剤に従事する薬剤師が不在のため調剤に応じることができない旨等、薬剤師不在時間に係る掲示事項を当該薬局内の見やすい場所及び当該薬局の外側の見やすい場所に掲示しなければならない(規則第14条の3第3項、規則第15条の16)。
・また、体制省令において、「薬剤師不在時間内(規則第1条第2項第2号に規定する薬剤師不在時間をいう。以下同じ。)は、法第7条第1項又は第2項の規定による薬局の管理を行う薬剤師が、薬剤師不在時間内に当該薬局において勤務している従事者と連絡ができる体制を備えていること」等、薬剤師不在時間内における薬局の業務を行う体制の基準が規定されている(体制省令第1条第1項第1号、第7号、第8号、第9号、同条第2項第6号)。
・なお、薬剤師不在時間内であっても、登録販売者が販売できる医薬品は、第二類医薬品と第三類医薬品であり、薬局開設者は、調剤室の閉鎖に加え、要指導医薬品陳列区画又は第一類医薬品陳列区画を閉鎖しなければならない。ただし、鍵をかけた陳列設備に要指導医薬品または第一類医薬品を陳列する場合は、この限りでない。(規則第14条の3第2項、構造設備規則第第1条第1項第11号、第12号)
店舗販売業の定義と許可
・店舗販売業の許可は、要指導医薬品又は一般用医薬品を、店舗において販売し、又は授与する業務について(法第25条第1号)、店舗ごとに、その店舗の所在地の都道府県知事(その店舗の所在地が保健所を設置する市は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。以下「店舗販売業」内において同じ。)が与えることとされている(法第26条第1項)。
・都道府県知事は、以下のケースにおいて、店舗販売業の許可を与えないことができる(法第26条第4項)。
■許可を受けようとする店舗が必要な構造設備(構造設備規則第2条)を備えていないとき
■適切に医薬品を販売し、又は授与するために必要な体制(体制省令第2条)が整っていないとき
■申請者が薬事に関する法令等に違反し一定期間を経過していないとき など
店舗販売業が取り扱い可能な医薬品
・店舗販売業は、薬局と異なり、薬剤師が従事していても調剤を行うことはできず、要指導医薬品または一般用医薬品以外の医薬品の販売等は認められていない(法第27条)。
・本規定に違反した者については、「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(法第84条第10号)こととされている。
店舗販売業者の販売・授与の規定
・店舗販売業の許可を受けた事業者(以下、「店舗販売業者」という。)が取り扱うことのできる医薬品は以下の通り。医薬品の種類により、薬剤師または登録販売者に販売または授与させなければならない(法第36条の5第1項。法第36条の9)。
店舗販売業で取り扱いできる医薬品
・本規定に違反した者については、都道府県知事は、その許可を取り消し、又は期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる(法第75条第1項)。
店舗販売業の適正運営のために
・店舗販売業においても、薬局と同様、医薬品が保健衛生上遺漏なく販売等されるよう、その業務を適正に運営するための仕組みが設けられている。
店舗販売業における店舗管理者の規定
・店舗販売業者は、「その店舗を、自ら実地に管理し、又はその指定する者に実地に管理させなければならない」(法第28条第1項)こととされている。
・また、その店舗を実地に管理する者(以下「店舗管理者」という。)は、薬剤師又は登録販売者でなければならないこととされている。(法第28条第2項)
・店舗管理者は、店舗に関する必要な業務を遂行し、必要な事項を遵守するために必要な能力及び経験を有する者でなければならないこととされている。(法第28条第3項)
・この店舗管理者は、次の各号に掲げる区分に応じ、その店舗において医薬品の販売又は授与に従事しているものでなければならない。(規則第140条第1項)
店舗販売業における店舗管理者の規定
・なお、上記規定「二」の店舗管理者を務める登録販売者は、薬局、店舗販売業又は配置販売業において、過去5年間のうち、以下①、②の期間が通算して2年以上※あることが必要となる。
※従事期間が月単位で計算して、1カ月に80時間以上従事した月が24月以上、または従事期間が通算して2年以上あり、かつ、過去5年間において合計1,920時間以あること。ただし、これらの従事期間が通算して2年以上であり、かつ、過去に店舗管理者等として業務に従事した経験がある場合も店舗管理者となれることとされている。
店舗販売業(第一類医薬品を販売する店舗)において登録販売者を店舗管理者にする条件
・第一類医薬品を販売し、授与する店舗において薬剤師を店舗管理者とすることができない場合、以下の要件を満たした者を店舗管理者にすることができる。(規則第140条第2項)
店舗管理者のその他の責務
・店舗管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないよう、その店舗に勤務する他の従事者を監督するなど、その店舗の業務につき、必要な注意をしなければならず、また、店舗販売業者に対して必要な意見を書面で述べなければならないこととされている(法第29条)。
・一方、店舗販売業者は、その店舗管理者の意見を尊重するとともに、法令遵守のために措置を講ずる必要があるときは、当該措置を講じ、かつ講じた措置の内容(措置を講じない場合にあつては、その旨及びその理由)を記録し、これを適切に保存しなければならないこととされている(法第29条の2第2項)。
・店舗管理者は、その店舗の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合を除き、その店舗以外の場所で業として店舗の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはならない。(法第28条第4項)
・その他、店舗販売業者は、店舗の管理に関する業務その他の店舗販売業者の業務を適正に遂行することにより、薬事に関する法令の規定の遵守を確保するために、必要な措置を講じるとともに、その措置の内容を記録し、適切に保存なければならないこととされている(法第29条の3)。
配置販売業の許可
・配置販売業の許可は、一般用医薬品を配置により販売又は授与する業務について(法第25条第2号)、配置しようとする区域をその区域に含む都道府県ごとに、その都道府県知事が与えることとされている(法第30条第1項)。
・都道府県知事は、以下のケースにおいて配置販売業の許可を与えないことができる(法第30条第2項)。
■許可を受けようとする区域において適切に医薬品の配置販売するために必要な基準(「体制省令第3条」)が整っていないとき
■申請者が薬事に関する法令等に違反し一定期間を経過していないとき など
配置販売業の販売方法
・配置販売業は、購入者の居宅に医薬品をあらかじめ預けておき【語句解説】、購入者がこれを使用した後でなければ代金請求権を生じない(「先用後利」という)といった販売形態である。そのため、一般用医薬品のうち経年変化が起こりにくいこと等の基準(配置販売品目基準(平成21年厚生労働省告示第26号)に適合する物以外の医薬品を販売等してはならないこととされている(法第31条)。
・本規定に違反した者については、「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する」(法第84条第11号)こととされている。
【語句解説】配置販売業の販売方法
・配置販売業では、通常、常備薬として用いられる製品をひと揃い収めた「配置箱」を預ける。これは法上、陳列に該当する。
配置販売業が取り扱い可能な医薬品
・配置販売業において取り扱い可能な医薬品は一般用医薬品の一部に限られ、医療用医薬品や要指導医薬品を取り扱うことはできない。以下のまとめを確認しよう。
配置販売業において取り扱い可能な医薬品(法第31条)
・なお、薬剤師が配置販売に従事していない場合には、第一類医薬品の販売又は授与を行うことができない。第二類医薬品と第三類医薬品は、薬剤師または登録販売者が販売・授与可能である(法第36条の9)。
・本規定に違反した者については、都道府県知事は、その許可を取り消しまたは期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止を命ずることができる(法第75条第1項)。
配置販売業の適正運営のために(区域管理者)
・配置販売業においても、薬局や店舗販売業と同様、医薬品が保健衛生上遺漏なく販売等されるよう、その業務を適正に運営するための仕組みが設けられている。まず、配置販売業者の業務にかかる都道府県の区域を管理する、区域管理者についての規定を確認しよう。
区域管理者の規定
・区域管理者は、区域に関する必要な業務を遂行し、必要な事項を遵守するために必要な能力及び経験を有する者でなければならないこととされている(法第31条の2第3項)。
・区域管理者を務める登録販売者は、薬局、店舗販売業または配置販売業において、過去5年間のうち、以下①、②の期間が通算して2年以上※あることが必要となる。(法第31条の2第2項、規則第149条の2)
※従事期間が月単位で計算して、1か月に80時間以上従事した月が24月以上、又は、従事期間が通算して2年以上あり、かつ過去5年間において合計1,920時間以上あること。ただし、これらの従事期間が通算して2年以上であり、かつ過去に店舗管理者等として業務に従事した経験がある場合も区域管理者となれることとされている。
区域管理者を務める登録販売者の規定
区域管理者による区域業務の監督
・区域管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その業務に関し配置員を監督するなど、その区域の業務につき、必要な注意をしなければならず、また、配置販売業者に対して必要な意見を書面により述べなければならないこととされている(法第31条の3)。
・これを受け、配置販売業者は、その区域管理者の意見を尊重するとともに、法令遵守のために措置を講ずる必要があるときは、当該措置を講じ、かつ講じた措置の内容(措置を講じない場合にあつては、その旨及びその理由)を記録し、これを適切に保存しなければならないこととされている(法第31条の4第2項)。
配置販売業者、配置販売員の届出と罰金
・配置販売業がいわゆる行商という業態による販売であることから、これに対し薬事監視を行いやすくする必要性に基づき、「配置販売業者又はその配置員は、医薬品の配置販売に従事しようとするときは、配置販売業者の氏名及び住所、配置販売に従事する者の氏名及び住所並びに区域及びその期間(規則第150条)を、あらかじめ、配置販売に従事しようとする区域の都道府県知事に届け出なければならない」(法第32条)こととされている。なお、本規定に違反した者については、「30万円以下の罰金に処する」(法第88条第4号)こととされている。
配置販売業者、配置販売員の身分証明書携帯義務
・「配置販売業者又はその配置員は、その住所地の都道府県知事が発行する身分証明書の交付を受け、かつ、これを携帯しなければ、医薬品の配置販売に従事してはならない」(法第33条第1項)とされており、本規定に違反した者については、「50万円以下の罰金に処する」(法第87条第11号)こととされている。
地域連携薬局、専門医療機関連携連携薬局、健康サポート薬局
・2022年の試験作成の手引き改正に伴い追加された。それぞれの特徴をおさえておこう。
配置販売業者による措置の実施と記録
・配置販売業者は、区域の管理に関する業務その他の配置販売業者の業務を適正に遂行することにより、薬事に関する法令の規定の遵守を確保するために、必要な措置を講じるとともに、その措置の内容を記録し、適切に保存なければならないこととされている(法第31条の5)。