1)医薬品の定義と範囲
医薬品の定義
・医薬品の定義は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第二条第一項第一〜三号において次のように規定されている。
法第2条第1項
医薬品の製造/製造販売
・医薬品の製造と製造販売にあたっては、それぞれ以下の通り許可を得る必要がある。なお、「医薬品の製造販売業」とは、製造または輸入した医薬品を、薬局開設者、医薬品の販売業者等に対して販売等を行うことを指す。「製造」は他に委託して製造する場合を含み、他から委託を受けて製造する場合は含まない。
医薬品の製造と製造販売の許可
・必要な承認を受けずに製造販売された医薬品の販売等は禁止されており(法第55条第2項)、これらの規定に違反して販売等を行った者については、「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(法第84条第2号、第3号、18号)こととされている。
=====関連する法律等=====
法第12条第1項
法第13条第1項
不正表示医薬品、不良医薬品の禁止
・不正表示医薬品(法第50から54条違反)は販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない(法第55条第1項)。
・摸造に係る医薬品および次に掲げる不良医薬品は、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で製造し、輸入し、貯蔵し、若しくは陳列してはならないとされている(法第55条、第56条)。
販売、授与等が禁止されている不良医薬品
・上記の規定については、製造販売元の製薬企業、製造業者のみならず、薬局及び医薬品の販売業においても適用されるものであり、販売又は授与のため陳列がなされる際に適正な品質が保たれるよう十分留意される必要がある。
・また同様に、次に該当する医薬品も、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で製し、輸入し、若しくは陳列してはならないとされている(法第57条)。
・これらの規定に触れる医薬品(不良医薬品)の製造、輸入、販売等を行った者については、「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(法第84条第18号から第20号及び第22号)こととされている。
一般用医薬品の定義
・一般用医薬品は、法第4条第5項第4号において次のように規定されている。
法第4条第5項第4号
医薬品のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであつて、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているもの(要指導医薬品を除く。)。
要指導医薬品の定義
・要指導医薬品は、法第4条第5項第3号において次のように規定されている。
要指導医薬品の定義
次のイからニまでに掲げる医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであつて、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているものであり、かつ、その適正な使用のために薬剤師の対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われることが必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。
イ その製造販売の承認の申請に際して第十四条第十一項に該当するとされた医薬品であって、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
ロ その製造販売の承認の申請に際してイに掲げる医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められた医薬品であつて、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
ハ 第四十四条第一項に規定する毒薬
ニ 第四十四条第二項に規定する劇薬
医療用医薬品と要指導医薬品、一般用医薬品の違い
・医療用医薬品は、医師もしくは歯科医師によって使用され、またはこれらの者の処方箋(せん)もしくは指示によって使用されることを目的として供給されるものである。一般用医薬品や要指導医薬品の定義や用量などの違いを確認しておこう。
要指導医薬品の指定
・薬剤師その他医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることを目的とする医薬品であって、医療用医薬品において使用されていた有効成分が初めて配合されたものや既存の医薬品と明らかに異なる有効成分が配合されたもののうち、その適正な使用のために薬剤師の対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われることが必要なものについては、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いた上で、厚生労働大臣が要指導医薬品として指定する。
要指導医薬品から一般用医薬品への変更
・要指導医薬品は、次に掲げる期間を経過し、薬事・食品衛生審議会において、一般用医薬品として取り扱うことが適切であると認められたものについては、一般用医薬品に分類される。
=====関連する法律等=====
法第4条第5項第3号イ
規則第7条の2第1項
法第4条第5項第3号ロ
規則第7条の2第2項
医薬品の販売における規制の違い
・医薬品の販売においては、卸売販売業、薬局、店舗販売業、配置販売業でそれぞれ規制が異なり、販売できる医薬品の種類も異なる。詳細を確認しておこう。
医薬品の販売業における販売可能医薬品の違い
=====関連する法律等=====
法第27条
法第4条第5項第2号
法第31条
規則第158条の2
毒薬・劇薬の定義と特徴
・毒薬とは、法第44条第1項の規定に基づき、毒性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医薬品をいう。
・また、劇薬とは、同条第2項の規定に基づき、劇性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医薬品をいう。
・毒薬及び劇薬は、単に毒性、劇性が強いものだけでなく、薬効が期待される摂取量(薬用量)と中毒のおそれがある摂取量(中毒量)が接近しており安全域が狭いため、その取扱いに注意を要するもの等が指定され、販売は元より、貯蔵及びその取り扱いは、他の医薬品と区別されている。
・なお、毒薬または劇薬は、要指導医薬品に該当することはあるが、現在のところ、一般用医薬品のものはない。
毒薬・劇薬の貯蔵・陳列
・業務上毒薬又は劇薬を取り扱う者(薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた事業者(以下「医薬品の販売業者」という。)を含む。)は、それらを他の物と区別して貯蔵、陳列しなければならず、特に毒薬を貯蔵、陳列する場所については、かぎを施さなければならないとされている(法第48条第1項及び第2項)。
・これに違反した者については、「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(法第86条第1項第14号)こととされている。
毒薬・劇薬の記載ルール
・毒薬については、それを収める直接の容器又は被包(以下「容器等」という。)に、黒地に白枠、白字をもって、当該医薬品の品名及び「毒」の文字が記載されていなければならず、劇薬については、容器等に白地に赤枠、赤字をもって、当該医薬品の品名及び「劇」の文字が記載されていなければならないとされている(法第44条第1項及び第2項)。
・この規定に触れる毒薬又は劇薬は、販売等してはならないとされており(法第44条第3項)、これに違反した者については、「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」こととされている(法第84条第16号)。
毒薬・劇薬の交付時の注意
・毒薬又は劇薬を、14歳未満の者その他安全な取扱いに不安のある者に交付することは禁止されており(法第47条)、これに違反した者については、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(法第85条第2号)こととされている。この場合、「安全な取扱いに不安がある者」とは、「睡眠薬の乱用」「不当使用」等が懸念される購入希望者等をさす。
毒薬・劇薬の譲渡時に譲り受ける者から交付を受ける必要があるもの
・毒薬又は劇薬を一般の生活者に対して販売又は譲渡する際には、当該医薬品を譲り受ける者から、品名、数量、使用目的、譲渡年月日、譲受人の氏名、住所及び職業が記入され、署名又は記名押印された文書※の交付を受けなければならない(法第46条第1項及び規則第205条)。
※文書に代えて、一定の条件を満たす電子的ファイルに記録したものによることもできる。
・劇薬を販売した際に受け取った譲受人の氏名等が記載された文書は、その譲渡の日から2年間、保存しなければならない(法第46条第4項)。
毒薬・劇薬を開封・販売できる人
・毒薬・劇薬については、以下挙げる者以外の医薬品の販売業者は、開封して、販売等してはならないとされている(法第45条)。
店舗管理者が薬剤師である店舗販売業者
医薬品営業所管理者が薬剤師である卸売販売業者
・これらの規定に違反して販売等した者については、「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(法第86条第1項第12号又は第13号)こととされている。
生物由来製品
・生物由来製品は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」とする)」第2条第10項において次のように定義されている。
生物由来製品の定義(法第2条第10項)
この法律で「生物由来製品」とは、人その他の生物(植物を除く。)に由来するものを原料又は材料として製造をされる医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器のうち、保健衛生上特別の注意を要するものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。
・生物由来製品は、製品の使用による感染症の発生リスクに着目して指定されている。生物由来の原材料(有効成分に限らない。)が用いられているものであっても、現在の科学的知見において、感染症の発生リスクの蓋然性(可能性)が極めて低いものについては、指定の対象とならない。
・一般用医薬品または要指導医薬品においても、生物由来の原材料が用いられているものがあるが、現在のところ、生物由来製品として指定された一般用医薬品又は要指導医薬品、医薬部外品、化粧品はない。
一般用医薬品のリスク区分
・一般用医薬品は、その保健衛生上のリスクに応じて、次のように区分される(法第36条の7第1項)。
法第36条の7第1項
・これらの厚生労働大臣の指定は、一般用医薬品に配合されている成分またはその使用目的等に着目してなされている。
・一般用医薬品の製造販売を行う製薬企業において、その一般用医薬品が、第一類医薬品、第二類医薬品または第三類医薬品のいずれのリスク区分に分類されるかを確認し、購入者等がそのリスクの程度について判別しやすいよう、各製品の外箱等に、当該医薬品が分類されたリスク区分ごとに定められた事項を記載することが義務づけられている。(別項「法定表示事項の出題事項」参照)
・本規定に基づいて、第一類医薬品(その製造販売の承認の申請に際して第14条第11項に該当するとされた医薬品であつて当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないものを除く。)及び第二類医薬品を指定する告示(「薬事法第36条の7第1項第1号及び第2号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する第一類医薬品及び第二類医薬品」(平成19年3月30日厚生労働省告示第69号))【語句解説】が公布され、その後随時改定されている。
【語句解説】告示の名称変更
・現在の名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第36条の7第1項第1号及び第2号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する第一類医薬品及び第二類医薬品」(平成26年厚生労働省告示第439号)
①第一類医薬品
・第一類医薬品は、法第36条の7第1項において、以下の通り規定されている。保健衛生上のリスクが特に高い成分が配合された一般用医薬品である。
法第36条の7第1項第1号
②第二類医薬品と指定第二類医薬品
・第二類医薬品は、法第36条の7第1項において以下の通り規定されている。保健衛生上のリスクが比較的高い一般用医薬品である。
③第三類医薬品
・第三類医薬品は、第一類医薬品および第二類医薬品以外の一般用医薬品で、保健衛生上のリスクが比較的低いものである。法第36条の7第1項で規定されている。第一類医薬品および第二類医薬品以外の一般用医薬品は、全て第三類医薬品に分類される。
一般用医薬品のリスク区分の見直し
・厚生労働大臣は、第一類医薬品または第二類医薬品の指定に資するよう医薬品に関する情報の収集に努めるとともに、必要に応じてこれらの指定を変更しなければならないこととされている(法第36条の7第2項)。これにより、第一類医薬品、第二類医薬品又は第三類医薬品への分類については、安全性に関する新たな知見や副作用の発生状況等を踏まえ、適宜見直しが図られている。
・たとえば、新たに一般用医薬品となった医薬品は、承認後の一定期間、第一類医薬品に分類されるが、その間の副作用の発生や適正使用の状況等に関する情報を収集し、それらを評価した結果に基づいて、第一類医薬品、第二類医薬品または第三類医薬品に分類される。
・また、第三類医薬品に分類されている医薬品について、日常生活に支障をきたす程度の副作用を生じるおそれがあることが明らかとなった場合には、第一類医薬品又は第二類医薬品に分類が変更されることもある。
日本薬局方(日局)とは
・法第二条第一項第一号に規定されている日本薬局方とは、法第41条第1項の規定に基づいて、厚生労働大臣が医薬品の性状及び品質の適正を図るため、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、保健医療上重要な医薬品※について、必要な規格・基準及び標準的試験法等を定めたものである。
※有効性及び安全性に優れ、医療上の必要性が高く、国内外で広く使用されているもの。
・日局に収載されている医薬品の中には、一般用医薬品として販売されていたり、一般用医薬品の中に配合されているものも少なくない。
第二条第一項第二号に規定されている医薬品はどういうもの?
・第二条第一項第二号に規定されている医薬品は、疾病の診断、治療又は予防に使用されることを目的とするものであり、社会通念上いわゆる医薬品と認識される物の多くがこれに該当する。これには検査薬や殺虫剤、器具用消毒薬のように、人の身体に直接使用されない医薬品も含まれる。
第二条第一項第三号に規定されている医薬品はどういうもの?
・第二条第三号に規定されている医薬品は、人の身体の構又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物のうち、第1号及び第2号に規定されているもの以外のものが含まれる。
・具体的には「やせ薬」を標榜(ひょうぼう)したもの等、「無承認無許可医薬品」が含まれる。