4 眠気を防ぐ薬
眠気防止薬の役割
・睡眠は健康維持に欠かせないものである。しかし、ある程度の睡眠を取っていても、食事のあとや単調な作業が続くときなど、脳の緊張が低下して眠気や倦怠(けんたい)感(だるさ)を生じることがある。
・眠気防止薬は、眠気や倦怠(けんたい)感を除去することを目的とした医薬品である。主な有効成分としてカフェイン(無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン等を含む)が配合されている。
カフェインのはたらきと副作用
・カフェインは、脳に軽い興奮状態を引き起こし、一時的に眠気や倦怠(けんたい)感を抑える効果がある。
・カフェインの作用により脳が過剰に興奮すると、副作用として振戦(ふるえ)、めまい、不安、不眠、頭痛等を生じることがある。
カフェインの作用イメージと副作用
・なお、カフェインには、作用は弱いながら反復摂取により依存を形成するという性質があるため、「短期間の服用にとどめ、連用しないこと」という注意喚起がなされている。
カフェインの眠気防止以外の作用
・カフェインは、脳以外にも様々な臓器に影響を与える。また、胎児や乳児への影響も認められるので、摂取には気をつけておきたい。
カフェインと利尿の関係
・カフェインは、腎臓においてナトリウムイオンと水分の再吸収を抑制し、尿量の増加(利尿)をもたらす。腎臓における血管と尿細管の関係、そしてカフェインがどのように作用するのかを、しっかりおさえておこう
原尿の生成と再吸収の流れ
補助成分(ビタミンB群、タウリン)
・眠気を防ぐ薬には、眠気を抑える効果はないが、眠気による倦怠(けんたい)感を和らげる補助成分として以下の成分が配合されることがある。
・詳細は以下のリンク先を確認しておこう。
ビタミンB1
ビタミンB2
パントテン酸カルシウム
ビタミンB6
ビタミンB12
ニコチン酸アミド
アミノエチルスルホン酸(タウリン)
カフェインの摂取上限
・眠気防止薬におけるカフェインの摂取上限は、1回200mgまで。1日500mgまでとされている。
カフェインの摂取上限と、カフェインを多く含む飲料
・100g中に含まれるカフェイン量の目安(五訂増補日本食品標準成分表による)
玉露:160mg
煎茶:20mg
ウーロン茶:20mg
紅茶:30mg
コーヒー:60mg
カフェインの同時摂取に注意
・カフェインは、他の医薬品(かぜ薬、解熱鎮痛薬、乗物酔い防止薬、滋養強壮保健薬等)や医薬部外品(ビタミン含有保健剤等)、食品(お茶、コーヒー等)にも含まれているため、それらが眠気防止薬と同時に摂取されるとカフェインが過量となり、中枢神経系や循環器系等への作用が強く現れるおそれがある。
カフェインを含む医薬品、医薬部外品、食品
・なお、かぜ薬やアレルギー用薬などを使用したことによる眠気を抑えるために眠気防止薬を使用するのは適切ではない。眠気が生じると不都合なときには、眠気を催す成分を含まない医薬品が選択されるべきであり、また、それらの医薬品には配合成分としてカフェインが含まれている場合が多いため、重複摂取を避ける観点からも併用を避ける必要がある。
眠気防止薬に疲労解消効果なし
・眠気防止薬は、一時的に精神的な集中を必要とするときに、眠気や倦怠(けんたい)感を除去する目的で使用されるものであり、疲労を解消したり、睡眠が不要になるというものではない。睡眠不足による疲労には、早めに十分な睡眠をとることが望ましい。
・特に内服液剤の場合、その製剤上の特徴から、本来の目的以外の意図に基づく不適正な使用(乱用)が起こりやすいので、注意が必要である。
細菌やウイルス感染による眠気に眠気防止薬は使用しない
・細菌やウイルスなどに感染したときに生じる眠気は、発熱と同様、生体防御の重要な一端を担っている病態生理的反応であり(睡眠により免疫機能が高まる。)、そのようなときに眠気防止薬で睡眠を妨げると、病気の治癒を遅らせるおそれがある。
眠気や倦怠感が続く場合は病院へ
・十分な睡眠をとっていても、眠気防止薬の使用では抑えられない眠気や倦怠(けんたい)感が続くような場合には、神経、心臓、肺、肝臓等の重大な病気が原因となっている可能性がある。睡眠時無呼吸症候群【語句解説】、重度の不安症や鬱(うつ)病、ナルコレプシー【語句解説】等の症状としての眠気も考えられるため、医療機関を受診するなどの対応が必要である。
【語句解説】
睡眠時無呼吸症候群:睡眠中に一時的な呼吸停止又は低呼吸を生じる病気
【語句解説】
ナルコレプシー:十分な睡眠をとっていてもなお、突然に耐え難い眠気の発作が起こる病気
15歳未満向けの眠気防止薬は存在しない
・成長ホルモンは生体を構築したり修復したりする上で重要な働きをしているホルモンであるが、成長ホルモンの分泌を促す脳ホルモンはある種の睡眠物質と同時に分泌され、それにより睡眠が促されることが知られている。
・すなわち、定期的な睡眠によって、生体は正常な状態に維持され、また、成長することができる。したがって、特に成長期の小児の発育には睡眠が重要であることから、小児用の眠気防止薬はない。
・眠気防止薬が小・中学生の試験勉強に効果があると誤解されて誤用事故を起こした事例も知られており、15歳未満の小児に使用されることがないよう注意が必要である。