問題を解く
GL302

2 解熱鎮痛薬

痛みや発熱が起こるしくみ、解熱鎮痛薬の働き

痛み、発熱が起こるしくみ

・痛みは病気や外傷などに対する警告信号として起こる。ただし、月経痛(生理痛)などのように、必ずしも病気が原因とは言えない痛みもある。

・発熱は細菌やウイルス等の感染等に対する生体防御機能の一つとして引き起こされる症状である。

痛みと発熱の概要

痛み、発熱が起こるしくみ

痛みとプロスタグランジン

・プロスタグランジンはホルモンに似たはたらきをする物質で、病気や外傷があるときに活発に産生されるようになる。

・プロスタグランジンは、身体の各部位で発生した痛みが脳に伝わる際に、そのシグナルを増殖することで痛みの感覚を強めている。

痛みとプロスタグランジン

・プロスタグランジンには、他にも脳の下部にある体温を調節する部位(温熱中枢)に作用して体温を通常よりも高く維持するよう調節する作用がある。ちなみに、高体温はウイルスの増殖を抑えたり、免疫機構のはたらきを高める体内環境といえる。

・上記以外にも、プロスタグランジンは、炎症の発生に関与したり、頭痛や関節痛を増強させる作用、胃酸分泌調節作用や胃粘膜保護作用がある。

解熱鎮痛薬のはたらき

・解熱鎮痛薬とは、発熱や痛みの原因となっている病気や外傷を根本的に治すものではなく、病気や外傷が原因で生じている発熱や痛みを緩和するために使用される医薬品(内服薬)の総称である。

解熱鎮痛薬のはたらき

・解熱鎮痛成分によって、解熱、鎮痛、抗炎症のいずれの作用が中心的となるかなどの性質が異なる。なお、専ら外用剤として局所的な鎮痛や抗炎症を目的として使用される成分もある。

代表的な配合成分等、主な副作用

・解熱鎮痛成分を中心に、カフェイン類や胃酸を中和する成分など、様々な成分が配合される。

代表的な配合成分等、主な副作用

解熱鎮痛成分

・解熱鎮痛成分は、化学的に合成された成分と生薬成分とに大別される。

化学的に合成された成分

・以下の痛みの鎮痛に用いられる。

悪寒・発熱時の解熱

頭痛

歯痛

抜歯後の疼痛(とうつう)

咽喉痛(喉の痛み)

耳痛

関節痛

神経痛

腰痛

筋肉痛

肩こり痛

打撲痛

骨折痛

捻挫(ねんざ)痛

月経痛(生理痛)

外傷痛

・解熱に関しては、中枢神経系におけるプロスタグランジンの産生抑制作用のほか、腎臓における水分の再吸収を促して循環血流量を増し、発汗を促進する作用も寄与している。

解熱のしくみと副作用、気をつけるべき人

・解熱鎮痛薬は、中枢神経系や腎臓、体の各部(末梢)に作用することで熱を下げる。これらの作用は、胃などの臓器に負担をかけたり、心臓、腎臓、肝臓に障害がある人の症状を悪化させる可能性があるので、気をつけておきたい。

解熱のしくみと副作用、気をつけるべき人

化学的に合成された解熱鎮痛成分に共通する、まれに生じる重篤な副作用

・まれではあるが、解熱鎮痛成分の使用により以下の重篤な副作用が現れる可能性がある。

化学的に合成された解熱鎮痛成分に共通する、まれに生じる重篤な副作用

解熱鎮痛成分が使用上の注意の記載で「相談すること」と明記されているケース

・アスピリン、サザピリン、エテンザミド、サリチルアミド、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリンなどを妊娠末期のラットに投与した実験において、胎児に弱い動脈管の収縮がみられたとの報告があるため、妊婦又は妊娠していると思われる人の使用時には「相談すること」とされている。

・なお、アスピリンについては、動物実験(ラット)で催奇形性が表れたとの報告がある。また、イソプロピルアンチピリンについては、化学構造が類似した他のピリン系解熱鎮痛成分において、動物実験(マウス)で催奇形性が報告されている。

a 解熱鎮痛成分

・解熱鎮痛成分として、①サリチル酸系解熱鎮痛成分、②アセトアミノフェン、③イブプロフェン、④イソプロピルアンチピリン、生薬成分について、順次解説する。

① サリチル酸系解熱鎮痛成分(アスピリン〔アセチルサリチル酸〕、サザピリン、エテンザミド、サリチルアミド)

・アスピリン(アセチルサリチル酸)、サザピリン、エテンザミド、サリチルアミド等を総称して、サリチル酸系解熱鎮痛成分という。注意点や副作用に注意しよう。

・なお、アスピリンは、他の解熱鎮痛成分に比較して胃腸障害を起こしやすく、アスピリンアルミニウム等として胃粘膜への悪影響の軽減を図っている製品もある。

① サリチル酸系解熱鎮痛成分(アスピリン〔アセチルサリチル酸〕、サザピリン、エテンザミド、サリチルアミド)

②アセトアミノフェン

・アセトアミノフェンは、主として中枢作用によって解熱・鎮痛をもたらす成分である。坐薬(ざやく)として小児の解熱に用いられることもある。詳しい特徴を確認しておこう。

②アセトアミノフェン

③イブプロフェン

・イブプロフェンは解熱鎮痛成分として非常に有名だが、一般用医薬品としては15歳未満の人には使用が禁止されるなど、注意点もある。特徴と注意点を確認しておこう。

③イブプロフェン

④イソプロピルアンチピリン

・イソプロピルアンチピリンは、一般用医薬品で用いられる唯一のピリン系解熱鎮痛成分である。解熱及び鎮痛の作用は比較的強いが、抗炎症作用は弱いため、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合される。

④イソプロピルアンチピリン

生薬成分(ジリュウ、シャクヤク、ボウイなど)

・生薬成分が解熱又は鎮痛をもたらす仕組みは、化学的に合成された成分(プロスタグランジンの産生を抑える作用)と異なるものと考えられており、アスピリン等の解熱鎮痛成分の使用を避けなければならない場合にも使用できる。

生薬成分(ジリュウ、シャクヤク、ボウイなど) 生薬成分(ジリュウ、シャクヤク、ボウイなど)

b〜f 解熱鎮痛薬に配合されるその他の成分

・解熱鎮痛薬には、解熱鎮痛成分のほかにも、鎮静成分や胃酸を中和する成分など、様々な成分が配合されている。それぞれの成分の配合の目的については以下の通り。

b〜f 解熱鎮痛薬に配合されるその他の成分

相互作用

・一般用医薬品の解熱鎮痛薬は、複数の有効成分が配合されている製品が多く、他の解熱鎮痛薬やかぜ薬、鎮静薬、外用消炎鎮痛薬(一般用医薬品に限らない。)等が併用されると、同じ成分又は同種の作用を持つ成分が重複して、効き目が強く現れすぎたり、副作用が起こりやすくなったりするおそれがある。

相互作用

アルコールとの相互作用

・アルコールの作用による胃粘膜の荒れがアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン等による胃腸障害を増強するという事実が報告されている。また、アルコールにより、アセトアミノフェンによる肝機能障害も起こりやすくなる。

アルコールとの相互作用

受診勧奨等

・解熱鎮痛薬の使用は、発熱や痛みを一時的に抑える対症療法であって、疾病の原因を根本的に解消するものではない。以下のような場合は、一般用医薬品によって自己治療を図るのではなく、医療機関を受診するなどの対応が必要である。

受診勧奨等

・また、発熱に加えて関節痛、月経痛、頭痛がある場合、何らかの疾患が原因である可能性もあるので注意しておきたい。

受診勧奨等

症状が軽いうちの服用は効果的。予防的な使用はNG

・解熱鎮痛薬は、頭痛の症状が軽いうちに服用すると効果的であるが、症状が現れないうちに予防的に使用することは適切でない。また、解熱鎮痛薬の連用により頭痛が常態化することがあるので注意を要する。

症状が軽いうちの服用は効果的。予防的な使用はNG