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GL221

3 体の局所に現れる副作用

消化性潰瘍

・消化性潰瘍(かいよう)は、胃や十二指腸の粘膜組織が傷害されて、粘膜組織の一部が粘膜筋板を超えて欠損する状態であり、医薬品の副作用により生じることも多い。

・消化性潰瘍では以下の症状が現れることが多いが、自覚症状が乏しい場合もあり、貧血症状(動悸(どうき)や息切れ等)の検査時や突然の吐血・下血によって発見されることもある。

消化性潰瘍の状態とみられる症状

消化性潰瘍

・重篤な病態への進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受けるなどの対応が必要である。

イレウス様症状(腸閉塞様症状)

・イレウスとは、腸内容物の通過が阻害された状態のことである。腸管自体は閉塞していなくても、医薬品の作用によって腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられると、以下のように深刻な症状が現れる。

イレウスでみられる症状

イレウス様症状(腸閉塞様症状)

・小児や高齢者のほか、普段から便秘傾向のある人は、発症のリスクが高い。また、下痢治癒後の便秘を放置して、症状を悪化させてしまうことがある。

・いずれにしても初期症状に気付いたら、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、早期に医師の診療を受けるなどの対応が必要である。

その他の消化器系副作用

・消化器に対する医薬品の副作用によって、吐きけ・嘔吐(おうと)、食欲不振、腹部(胃部)不快感、腹部(胃部)膨満感、腹痛、口内炎、口腔(こうくう)内の荒れや刺激感などを生じることがある。これらの症状が現れたときには、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受けるなどの対応が必要である。

・医薬品によっては、一過性の軽い副作用として、口渇、便秘、軟便、下痢等が現れることがある。また、浣腸剤や坐剤(ざざい)の使用によって現れる一過性の症状に、肛門(こうもん)部の熱感等の刺激、異物の注入による不快感、排便直後の立ちくらみなどがある。

・添付文書等には、それらの症状が継続したり、症状に増強が見られた場合には、その医薬品の使用を中止して、専門家に相談するよう記載されている。

間質性肺炎

・通常の肺炎は、気管支または肺胞が細菌に感染して炎症を生じたものである。一方、間質性肺炎は、肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたものである。

通常の肺炎と間質性肺炎の比較

間質性肺炎

・間質性肺炎は、一般的に医薬品の使用開始から1〜2週間程度で起きることが多い。息切れは、初期には登坂等の運動時に感じられるが、病態が進行すると平地歩行や家事等の軽労作時にも意識されるようになる。必ずしも発熱は伴わない。

・これらの症状は、かぜや気管支炎の症状と区別が難しいこともあり、細心の注意を払ってそれらとの鑑別が行われている。症状が一過性に現れ、自然と回復することもあるが、悪化すると肺線維症(肺が線維化を起こして硬くなる状態)に移行することがある。

・重篤な病態への進行を防止するため、直ちに原因と考えられる医薬品の使用を中止して、速やかに医師の診療を受ける必要がある。

喘息

・医薬品の使用による喘息(ぜんそく)では、原因となる医薬品(アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症成分を含む解熱鎮痛薬など)の使用後に以下の症状が起こる。

喘息

・合併症を起こさない限り、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失すれば症状は寛解する。軽症例は半日程度で回復するが、重症例は24時間以上持続し、窒息による意識消失から死に至る危険もある。そのような場合には、直ちに救命救急処置が可能な医療機関を受診しなければならない。

・以下の人では喘息を発症しやすい。また、これまでに医薬品(内服薬に限らない)で喘息(ぜんそく)発作を起こしたことがある人は特に喘息が重症化しやすいので、同種の医薬品の使用を避ける必要がある。

喘息を発症しやすい人

喘息

うっ血性心不全

うっ血性心不全とは、全身が必要とする量の血液を心臓から送り出すことができなくなり、肺に血液が貯留して、種々の症状を示す疾患である。

・息切れ、疲れやすい、足のむくみ、急な体重の増加、咳(せき)とピンク色の痰(たん)などを認めた場合は、うっ血性心不全の可能性を疑い、早期に医師の診療を受ける必要がある。

・なお、心不全の既往(きおう)がある人は、薬剤による心不全を起こしやすい。

不整脈

・正常時の心臓は、拍動のリズムが一定である。一方、心筋の自動性や興奮伝導の異常が原因で心臓の拍動リズムが乱れる病態を不整脈という。不整脈では、以下の症状が現れる。

不整脈のイメージと不整脈でみられる症状

不整脈

・代謝機能の低下によって発症リスクが高まることがあるので、腎機能や肝機能の低下、併用薬との相互作用等に留意するべきである。特に、高齢者において、そのような配慮が重要である。

・医薬品の販売等に従事する専門家においては、医薬品を使用する本人だけでなく、その家族等にもあらかじめ注意を促しておく必要がある。

その他の循環器系の副作用

・高血圧や心臓病等、循環器系疾患の診断を受けている人は、心臓や血管に悪影響をおよぼす可能性が高い医薬品を使用してはならない。また、使用禁忌となっていなくても、使用しようとする人の状態等に応じて使用の可否を慎重に判断すべき医薬品は、使用上の注意の「相談すること」の項で注意喚起がなされている。

・これらの点に留意して医薬品を適正に使用した場合であっても、動悸(どうき。心悸亢進(しんきこうしん))や一過性の血圧上昇、顔のほてり等を生じることがある。

・これらの症状が現れたときには、重篤な病状への進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受けるなどの対応が必要である。

腎障害

・医薬品の使用が原因となって、腎障害を生じることがある。なお、外国から個人的に購入した医薬品(生薬・漢方薬)またはそれらと類似する健康食品(健康茶等)の摂取によって重篤な腎障害を生じた事例も報告されている。

・以下の症状が現れたときは、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、速やかに医師の診療を受ける必要がある。

■尿量の減少

■ほとんど尿が出ない、逆に一時的に尿が増える

■むくみ(浮腫)

■倦怠(けんたい)感

■発疹(ほっしん)

■吐きけ・嘔吐(おうと)

■発熱

■尿が濁る・赤みを帯びる(血尿) など

排尿困難、尿閉

・副交感神経系の機能を抑制する作用がある成分が配合された医薬品を使用すると、膀胱(ぼうこう)の排尿筋の収縮が抑制され、以下の症状が現れる。初期段階で適切な対応が図られるよう、尿勢の低下等の兆候に留意することが重要である。

排尿困難等の副作用が生じる流れ

排尿困難、尿閉

・上記のような症状が現れたときには、原因と考えられる医薬品の使用を中止する。多くの場合、原因となる医薬品の使用を中止することにより症状は速やかに改善するが、医療機関における処置を必要とする場合もある

膀胱炎様症状

・膀胱(ぼうこう)炎様症状として、尿の回数増加(頻尿)、排尿時の疼痛(とうつう)、残尿感等の症状が現れる。

・これらの症状が現れたときは、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受けるなどの対応が必要である。

眼圧上昇

・眼球内の角膜と水晶体の間を満たしている眼房水が排出されにくくなると、眼圧が上昇して視覚障害を生じることがある。

・たとえば、抗コリン作用がある成分が配合された医薬品によって眼圧が上昇し(急性緑内障発作)、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下をきたすことがある。特に眼房水の出口である隅角が狭くなっている閉塞隅角緑内障がある人では厳重な注意が必要である。眼圧の上昇に伴って、頭痛や吐きけ・嘔吐(おうと)等の症状が現れることもある。

・高眼圧を長時間放置すると、視神経が損傷して不可逆的な視覚障害(視野欠損や失明)に至るおそれがあるので、速やかに眼科専門医の診療を受ける必要がある。

その他の目に現れる副作用

・医薬品によっては、瞳の拡大(散瞳)による異常な眩(まぶ)しさや目のかすみ等の副作用が現れることがある。

・眠気と同様に、そのような症状が乗物や機械類の運転操作中に現れると重大な事故につながるおそれがあるので、散瞳を生じる可能性のある成分が配合された医薬品を使用した後は、そうした作業は避けなければならない。

皮膚に現れる副作用

・外用薬や化学物質等に皮膚が反応すると、強い痒(かゆ)みを伴う発疹(ほっしん)・発赤、腫れ、刺激感、水疱(すいほう)・ただれ等の激しい炎症症状(接触皮膚炎)や、色素沈着、白斑等を生じることがある。軽症のものは一般に「かぶれ」とも呼ばれる。

・医薬品の使用後、太陽光線にさらされることにより起こる光線過敏症、医薬品を原因とする薬疹(やくしん)も、皮膚に現れる副作用である。それぞれ確認しておこう。

接触皮膚炎

・接触皮膚炎は、いわゆる「肌に合わない」という状態であり、外来性の物質が皮膚に接触することで現れる炎症である。同じ医薬品が触れても、発症するか否かはその人の体質によって異なる。原因となる医薬品と接触してから発症するまでの時間は様々である。

接触皮膚炎とアレルギー性皮膚炎の比較(イメージ)

接触皮膚炎

・症状が現れたときは、重篤な病態への進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を中止する。通常は1週間程度で症状は治まるが、再びその医薬品に触れると再発する。

光線過敏症

・光線過敏症では、太陽光線(紫外線)に曝(さら)されて、初めてかぶれ症状が起こる。その症状は医薬品が触れた部分だけでなく、全身へ広がって重篤化する場合がある。貼付(ちょうふ)剤の場合、剥がした後でも発症することがある。

・光線過敏症が現れた場合は、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、皮膚に医薬品が残らないよう十分に患部を洗浄し、遮光(白い生地や薄手の服は紫外線を透過するおそれがあるので不可)して速やかに医師の診療を受ける必要がある。

薬疹

・薬疹(やくしん)は、医薬品によって引き起こされるアレルギー反応の一種で、発疹(ほっしん)・発赤等の皮膚症状を呈する場合をいう。あらゆる医薬品で起きる可能性があり、同じ医薬品でも生じる発疹の型は人によって様々である。重篤な病態への移行も懸念されるので、注意して観察する必要がある。

薬疹でみられる症状

薬疹

・薬疹は、アレルギー体質の人や以前に薬疹を起こしたことがある人で生じやすいが、それまで薬疹を経験したことがない人であっても、暴飲暴食や肉体疲労が誘因となって現れることがある。

薬疹が起こったら

・医薬品を使用した後に発疹・発赤等が現れた場合は、薬疹(やくしん)の可能性を考慮すべきである。重篤な病態への進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を直ちに中止する。痒(かゆ)み等の症状に対して、一般の生活者が自己判断で対症療法を行うことは、原因の特定を困難にするおそれがあるため、避けるべきである。なお、薬疹(やくしん)は医薬品の使用後1〜2週間で起きることが多いが、長期使用後に現れることもある。

・多くの場合、原因となる医薬品の使用を中止すれば、症状は次第に寛解する。ただし、以前、薬疹(やくしん)を経験したことがある人が再度同種の医薬品を使用すると、ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症などの、より重篤なアレルギー反応を生じるおそれがあるので、同種の医薬品の使用を避けなければならない。

その他

・外用薬の適用部位(患部)に生じる副作用として、そのほかに含有される刺激性成分による痛み、焼灼感(しょうしゃくかん。ヒリヒリする感じ)、熱感、乾燥感等の刺激感、腫れ等がある。

・また、外用薬には、感染を起こしている患部には使用を避けることとされているものがあるが、感染の初期段階に気付かずに使用して、みずむし・たむし等の白癬(はくせん)症、にきび、化膿(かのう)症状、持続的な刺激感等を起こす場合があるので注意が必要である。

・いずれの場合も、重篤な病態への進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受けるなどの対応が必要である。

副作用情報等の収集と報告

・法第68条の10第2項の規定に基づき、登録販売者は、医薬品の副作用等を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、その旨を厚生労働大臣に報告しなければならないとされており、実務上は決められた形式に従い報告書を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出することとなる。

・一般用医薬品においても毎年多くの副作用が報告されており、市販後も医薬品の安全性を継続的に確保するために、専門家により多くの情報が収集され医薬品の安全性をより高める活動が続けられている。